記事
VISAダイナスティカップ2日目はアジアに1ポイントのリードを許して、勝負はいよいよファイナルマッチへ!!
1ダウンで迎えた最終18番。
神山が、第2打を手前5メートルにつけた。片山は、ピン奥8メートル。
インドのジョディ・ランダワは手前のバンカー。タイのタワン・ウィラチャンが、先に長いバーディパットを外した。
続く片山のバーディパットは、フックしてスライスする複雑なライン。
「でも、(神山)隆志が近くに寄せてくれていたから。なんとか安心して打つことができたんですよ」。
果たして、ボールがど真ん中から沈んだ瞬間、片山が吼えた。
日本ツアーでの、どの優勝争いでも見せたことがないようなド派手なガッツポーズ。
勝負をオールスクエアに戻して、アジア6.5−日本5.5。なんとか、チームのポイント差を1つにとどめたのだ。
ホールアウトするなり神山は、尊敬のまなざしで片山を見つめたあと「・・・ここに“神様”がいる!!」と、つぶやいた。
神山は、大会が始まるまでは絶好調だった。それなのに本番が始まると、これまで経験したこともない現象に見舞われていた。
「バッグスイングでクラブが無くなって、インパクトでいきなりヘッドが出てくる」。
昨年、初めて経験した全英オープンをノンプレッシャーで戦えたのは、「自分のためにやっていればいいから」だった。
しかし、今回は日の丸を背負ったチーム戦。かつてないほどのプレッシャーにおびえて、思い切り振れなくなっていたのだ。
ペアの片山はそんな神山の変調に気がついていた。
「そういう気持ちは、本当に戦ったものにしかわからないこと。普段の優勝争い以上のものを感じながら、僕らはやっているんです」。
日本の“エース”は何も聞かなくとも、神山の心情を心から理解してこの2日間、神山のミスを懸命にカバーし続けた。
神山も、そんな片山の気持ちに応えようと、必死に戦った。
そんな2人が、チーム戦のクライマックスでひとつになった。
勝負をオールスクエアに戻した18番グリーンで、天高く合わせた両手。
この興奮は、シングルスマッチプレーで争う翌日の最終日につなげていく。