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つるやオープンゴルフトーナメント 2006

豪州勢が2週連続優勝

12番でボギー。室田淳に並ばれた。それでも、ブレンダン・ジョーンズは「負ける気がしなかった」。トラブルを迎えても、強い気持ちは消えなかった。
最終日の朝スタート前、ウェイン・パースキーに言われた言葉が蘇る。「今週は、君が勝つ雰囲気を持っている。だから頑張れ!」。

パースキーは、ジョーンズのジュニア時代からのライバルで、無二の親友。実際、その仲の良さは半端ではない。

先週の開幕戦で、パースキーがツアー初優勝をあげた。チャンピオンは、表彰式やインタビュー、写真撮影会などホールアウト後の行事で慌しい。
大忙しのパースキーに代わり、キャディバッグを片付けたり、せっせと荷造りしてやったのがジョーンズだった。それは、パースキーのスニーカーを持って会見場に現れて、スパイクを履き替えさせるほどの献身ぶりだった。

「僕らの仲を、怪しんでいる人もいるくらい(笑)。ほんとうに、兄弟みたいに仲が良いんだ」。
次のつるやオープンの会場に向かう電車の中で、そう笑っていた2人。

そのパースキーが、「今週は、君の番」と、太鼓判を押していた。
2人でワン、ツーフィニッシュした先週の最終日は、同じ最終組で回っていた。

「そのときのBJ(ジョーンズの愛称)のゲームの組み立て方が、とても良かったんだ。先週はたまたま僕が勝ったけど、次は絶対に彼だと。そう確信していた」(パースキー)。

果たして、親友の見立ては正しかった。
「ティグラウンドに立つと震えが来るくらい。嫌いなホール」という山の原ゴルフクラブの14番パー4も、この日最終日はティショットで安全に、4番ウッドを握る策で乗り切った。

2位に2打差をつけて、プレッシャーから完全に開放されてやってきた最終18番。
グリーンの向こう側に大親友の笑顔が見えた。

先週はパースキーの初優勝を心から喜んだジョーンズが、今度は祝福の抱擁を受ける番。
パースキーが耳元でささやく。
「ほら、僕が言ったとおりになっただろう?」。
歓喜の輪のなかに、やはり豪州出身のポール・シーハンも加わって「来週は、僕が勝つよ!」。
即座に、ジョーンズが答える。
「僕も、2週連続優勝を目指す!」。

先週の米ツアーではアーロン・バデリーが優勝するなど、ちかごろ世界各地で豪州勢の勢いが凄まじい。
「・・・今年の日本ツアーは、僕らがぜんぶ買っちゃうかも?!」。
ジョーンズのジョークが、まんざら冗談でもなく聞こえてくるから恐ろしい。
  • パースキー(中央)とジョーンズ(右)。豪州勢の2週連続Vに刺激され、「僕も来週勝つよ」とシーハン(左)

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