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<特集>ツアープレーヤーたちの挑戦!!尾崎直道
すでに昨年11月の最終予選会で3位につけて、上位7人という狭き門に食い込んで、出場権は取得済み。
「いまから、ワクワクしている」と、直道は言う。
93年からの9年間、USPGAツアーで戦ってきた。
最愛の家族と離れ、慣れない土地での転戦は、楽しい思い出ばかりではなかった。
当時、帰国するたびに「つらいことのほうが、むしろ多いよ・・・」と、顔をしかめていたジョ
ー尾崎が、再び世界へ飛び出そうとしている。
「日本のレギュラーツアーでは、親子ほど年齢の違う若い選手に対して、“絶対に負けるものか”という強い気持ちで戦うのが難しくて。モチベーションが思うように上がらなくなってしまったんです」と、直道は“再挑戦”の理由を語る。
若手選手との飛距離の差などに「悔しい」と思えず、むしろつい傍観者になってしまう自分がいる。
「まるでファンの目になって(苦笑)。自分のプレーより、ほかの若い選手の応援に熱心になったりね」と、苦笑する。
とはいえ、再びきびしい環境に自分をおくことの迷いもあった。それでも直道は、あえて決意するのである。
「ゴルフに集中できる環境の素晴らしさ、そこで戦う選手のレベルの高さ、コースとコースセッティングの難しさなどがあって。もう一度、それらを味わってみたいと思った。ツアープロである私の闘争心を刺激する場所、それがアメリカだったんです」。
その中で、心境の変化もあったようだ。それは、「ゴルフを心から楽しめるようになってきたこと。それが、何より大きかった」と、直道は言う。
以前は、とにかくコースを攻めて勝利をもぎ取るといった、ストイックなプレースタイルだった。「だから試合が終わったあとは、たいてい肉体も精神も、疲れきっていたね」と、振り返る。
しかしシニアの最終予選会では、一次予選からあわせると10日間の長丁場にも、「なんだか、自分がここで戦えるってことが嬉しくて嬉しくて。自分のゴルフを楽しむ、というプレーに専念できた。ほんとうに、あっという間に試合が終わってしまった感じでね。最終日には、“なんだ、もっとプレーしたかったのに”と思ったくらい」。
闘争心を保ちつつ、自分のゴルフを存分に楽しむ・・・。キャリアと、年齢を重ねることによって得た新境地が、直道にとってのチャンピオンズツアーだったのである。
「プレッシャーはもちろんありますが、それよりも若い頃に感じていた、あのティグラウンドに立った瞬間に湧き上がってくるワクワク感のほうが大きい。久しぶりに味わえるかと思うと、もう居ても立ってもいられないくらい」と、声を弾ませる。
チャンピオンズツアーは8月に予選会のリランキングが行われるから、5月から参戦する直道には、出場できる試合が2ヶ月に限られてしまう。
それでもジョーは、あえて挑戦する。
「アメリカに行ける。それだけで、ワクワクしてる。とにかくいまは、その2ヶ月間を楽しくプレーできるよう、コンディションを万全に整える。それだけです」。
そう語る49歳の瞳は、まるで少年の輝きだ。