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アイフルカップ 2001
「初めて、キャッチャー的役割を、体験しています」
前半の18番ホール。1メートルのバーディパットを読む、2人の目は真剣だ。
下りのストレートライン、「でも、弱いと切れるぞ。強気で、真ん中に打て!」
定岡さんの言葉に、森元がうなずく。
チャンスを決めて、2人の拳が合わさった。
「やったね!」
それまでの渋い表情に、笑顔が戻った。
2人は、鹿児島実業高校、野球部時代の同級生だ。
エースの定岡に対し、センターを守っていた森元。
あとひとつ勝てば決勝進出という試合で、定岡が途中、怪我で退場。
エースの欠けたチームは動揺し、しかも、最後は、森元のエラーで敗れるという苦い過去もある。
あれから約20年。
森元は、国鉄職員(現、JR)→プロゴルファーの道を、定岡さんはプロ野球→タレントの道を歩み、その2人が今度は、ゴルフコースでタッグを組むことになったのだ。
この日初日は午後の11時50分スタート。
が、お互いに初体験だけに入念な打ち合わせでつい時間を忘れ、いつのまにか時間ぎりぎり。
5分前にインスタートの10番ティグラウンドに駆けつけたが、息を切らせて打ったため森元は、ティショットを右にプッシュアウトだ。
球は木に当たって、根元に落ちた。200ヤードも残った第2打は、結局、乗らず寄らず入らずのダボ…。
「スタート前は、やる気満々だったのに、このダボで、なんとなく定岡が引いちゃって…」と2人して苦笑いの場面もあったが、それでも二人三脚で奪ったこの日のバーディは4つ。
森元は、「はじめのダボから考えれば、上出来。なんとか4日間、ゴルフがしたい。明日以降、巻き返します」と気持ちを入れ替える。
一方、“女房役”の定岡さんは、「これまでピッチャーしかやったことなかったけど、生まれて初めて、“キャッチャー的”役割をした感じ。サインひとつで点が取られる、ミスもある、というような…ね」と、立場の逆転に感慨深げ。
また、プロとしての森元のゴルフを始めて間近に見たことについて、「“まだまだ”という気持ちと、“良くやってるじゃん”って気持ちが半々。明日、予選通過を控えて彼がどういうゴルフをするのか、楽しみでもあります」と話した。
さて、この結果はいかに―。