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ブリヂストンオープン 2002
「嬉しい誤算」
いつも、目標スコアを設定してラウンドするというレイコック。
今週のそれは、“20アンダー”だった。
だが、出だしで第2打がディボット跡につかまり、ボギー発進するなど、思うようにスコアが伸ばせない。
袖ヶ浦の上空で、風が微妙に回っていた。
他の選手たちも、伸び悩んでいた。
レイコックも途中から、4日間自己ベストアンダーの“18アンダー”更新に目標を切り替えて戦ったが、最難関の14番でボギーを叩き、谷口、片山に並ばれて大混戦のまま終盤ホールへ。
そんな中、役立ったのは、母国オーストラリアで覚えた、低弾道のショットだった。
風の強いコースで育ったためか、レイコックの球筋は低い。
もっとも、普段はそれが悩みのタネで、日ごろから、高弾道の球が打てるようになりたいと、この日朝の練習場でも、高くティアップして打つ練習をしていたほどだ。
だが、実際にコースに出てみると、この日のコンディションに必要なものは何か、すぐわかった。
「向かい風のホールが多かったので、普段どおりのボールを、打っていけばいい、と」
風の抵抗を受けにくい、安定したショットでしのいで、じっとチャンスをうかがっていた。
勝機をつかんだのは、16番パー5だ。
アゲンスト風の中、「とにかくフェアウェーキープ」とスプーンで確実に刻んだ残り268ヤードの第2打でもまたスプーンを握り、ピン手前15ヤードに、2オン成功。
2パットで奪ったこのバーディが、勝利を呼び込んだ。
結局、目標スコアには4つ及ばなかったが「嬉しい誤算だね!!」。
日本で初めてのウィニングパットを沈めると、両手を突き上げ、ガッツポーズだ。