記事
ダイヤモンドカップトーナメント 2002
「理論を信じず、己を信じよ」
現在、発売中の『ヨコシンの“自己感覚ゴルフ”』のサブタイトルは、「理論を信じず、己を信じよ」。
この日のゴルフは、まさに、それを地でいく内容だった。
たとえば、36インチの中尺パターで打つときのグリップは、ホール毎に変えた。
「そのとき、そのときで、いちばんしっくりいく握り方」
ひとつに決めず、状況に応じてベストなスタイルを選び出すやり方を取った。
また、パッティングのラインの取りかたも、感覚派の横田ならではだ。
たとえば、打つ瞬間に(これは入らないな)と、直感で感じたときは、無理やりに、ボールからカップまでの仮想の溝(ライン)を作る。
「そして、その“へっこんだ溝の部分”に、つるつるっと“流し込む”イメージで、打つだけでいい。そうすれば、安心して打てるんですよ」と、独特の表現法で、この日のプレーを振り返った。
4月末から使いはじめたキャスコのボール『プレミアムシリコン』も、横田の感性を、後押しする。
「ボール表面が柔らかいから、ラフからでも、クラブヘッドに吸い付くように当たって、グリーン上でしっかりと止まってくれる。どんな硬いグリーンでも、大丈夫ですよ」と、絶大の信頼をおいている。
この日は、パー5、パー4のティショットはすべてドライバーで打った。
「刻んでラフに打ち込んで、かえって距離が残るのは、悲しい」というのが表向きの理由だが、それは、「少々、ラフに打っても大丈夫」という横田の自信の、裏返しでもある。
「ゴルフは、道具と頭を使って、やらなくちゃね!」
売り出し中の本は、なかなか好評で、「譲ってほしい」と言ってくる選手が後を絶たない。
2打差4位に控える久保谷も、先週のプレーオフで、横田の技術本をバッグにしのばせ、戦ったという。
「“弟子”が、2勝もしているんだからね」
人に教えてばかりではなく、「そろそろ、自分も…」と、好機をうかがう、“横田先生”だった。