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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2007

2007年最強の男はブレンダン・ジョーンズ

単独首位で迎えた最終18番で1.5メートルのバーディチャンスを外したが、「あれは人生で一番難しいパットだったから」。奥から急な下り傾斜を入れ損なって、むしろ確信は強まった。後ろにあと4組のプレーを残していたが、「今日はきっと僕が勝つ」。

首位と5打差の12位タイからスタートした最終日。9番パー4で、手前カラーから8メートルの第3打をパターでねじこむと、本人すら首をかしげるほどその勢いは止まらなくなった。
このあと13番まで4連続。さらに15番から3連続を記録して、奪ったバーディは実に10個(1ボギー)。
スコアボードのてっぺんで、燦然と輝く61は自己ベスト。
ここ東京よみうりカントリークラブのコースレコード新でもある。

「今日は人生におけるベストゲームと言っていい」。
これほどの大量アンダーを出しながら、あっさりと負けるとは思えなかった。

最終組のジーブ・ミルカ・シンと、W・リャンが17番でバーディを奪って通算11アンダー。
首位タイに並んだが、急勾配の受けグリーンが待ち受ける18番パー3は、ツアーでも屈指の難ホールだ。
先にホールアウトしていたジョーンズが断然、有利。

プレッシャーの中、ティショットをグリーン左奥のラフに外したリャンは、アプローチをまさかの大シャンク。
ジーブは手前からピンを大きくオーバーし、揃ってダブルボギーを打った。
その瞬間、両手で頭を抱えて絶叫した。

「今日は人生最良の日です!」。

4月のつるやオープンでツアー通算7勝目。このとき目標に掲げたのは「今年は日本と名のつくタイトルを取る」。
しかし、日本プロで10位タイ。UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズで4位タイ。そして10月の日本オープンは39位タイに終わって「こんなゴルフで、勝てるわけがない」。

なかば自暴自棄になっていたジョーンズに、コーチのアレックス・マーサ氏が言ったのだ。
「君には可愛い奥さんがいる。そして7月には待ちに待った赤ちゃんも。ボギーを打ったって、試合に負けたって、君の人生は素晴らしい。そうじゃない?」。
これでたちまち吹っ切れた。
その直後、11月の三井住友VISA太平洋マスターズでツアー2勝目。
さらに今季最終戦で、きっちり締めた。
念願の初の日本タイトルは今季3勝目、賞金ランクは谷口、片山に次ぐ3位。
「2人は世界でも通用する、いま日本でもっとも強い選手。今年は、絶対にその次につけたいと思ってたからすっごく嬉しい!」。

来年こそ最強の2人を超えるには、「僕には、もっともっと練習が必要」と自覚している。
「…でも大きな声は言えないけれど、僕は練習しないほうがなぜか調子が良いからなあ!」。
ツアー優勝者と賞金ランク25位までの選手しか出場できない今大会。
2007年度の最強ゴルファー決定戦。
最後の最後に笑ったのは、32歳の底抜けに陽気なオージーだった。

  • 大会特別協賛のJTの木村宏・取締役社長より受けた今年3つ目の優勝カップで賞金ランクは自己最高の3位に!

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