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ダンロップフェニックストーナメント 2006
パドレイグ・ハリントンが、プレーオフを制して日本ツアー初優勝!!
そのわずかな空間に向けて、ハリントンがアドレスを取ったのだ。
誰もが、息をのんだ瞬間。
「まさか・・・狙うのか?!」。
握り締めたクラブは、ユーティリティアイアンだった。
失敗する確率のほうが、はるかに高い。
ボールは、下手すれば自分に跳ね返ってくる怖れもある。
「でも、私は思いました。可能性があるなら勇気を出してみよう、と。なんせ相手はあのタイガーでしょう。自分に出来ることは、何でもやってみなくちゃという気持ちだったんです」。
躊躇なく振り抜かれたショットは、小さな隙間をこじ開けるように飛んだ。
ボールがほんのわずかに木をかすめたために、思ったより距離は落ちたがそれでも無事119ヤード先のラフに落ちた。
「運が味方してくれた」。
さらに、起死回生の第3打は残り96ヤード。
深いラフはしかしギャラリーに踏みしめられて、それほど悪いライではなかった。
アプローチは激しい音とともに、ピン奥1.5メートルに着地した。
そこから、唸るようなバックスピンでカップ50センチに吸い付いた。
欧州ツアー賞金王が、世界1位をねじ伏せた渾身の一撃だった。