シード2年目の今シーズンは、序盤で苦戦が続いていた。夏を過ぎても賞金ランクは110位台と、低迷していた。
「早く（シードを）決めたい･･･その気持ちから、焦りもあったと思います。早く結果を出さなくては、と思うほどに苦しいばかりで、ゴルフをしてても楽しいことなんかひとつもなかった」と、当時を振り返る。

そんな中川が本来の明るさを取り戻すきっかけは、9月に行われたツアー外競技の関西オープンだった。最終日は、首位と6打差から追い上げて2位。久々の優勝争いに、「自分の力を信じて思い切りプレーする姿勢」を、思い出したという。

「久しぶりに『ゴルフが楽しい』と思うことができた。これまでは精神的な弱さから、プレーする前から悪いイメージばかりを先に作ってしまっていた気がします。でも、自分にはもう失うものは何もない。そう思ったら開き直ってプレーすることができた。順位やスコアは、精一杯やった結果なのだから、いろいろ考えるのはやめようと」。

前向きさを取り戻した途端、9月のサントリーオープンで2位タイ。賞金ランクも一気に60位台にまで上げて、3年目のシード権保持まで、あともうひと踏ん張りというところまで来ている。

試合のないときは、練習のかたわらＡＢＣゴルフ倶楽部のマスター室に座ってスタート業務をこなす。
昨年の今大会は“ホストプレーヤー”としてのプレッシャーをはねのけ、初の予選通過を果たして13位タイにつけた。
「今年は、昨年以上のプレーで恩返しがしたい」。いまから気合が入っている。

• 中川 勝弥