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2003 Challenge < 市原建彦 >
デビュー5年目。
「これまでだっていつでも、“自分はやれる”との自信は、ありました。だけど、肝心なところで力が入りすぎてから回り。欲望が先に立って、失敗もたくさんしてきた」
98年のPGA資格認定プロテストのときも、そうだった。茨城県・水戸市の水城高校から名門・日大に進んだものの、「刺激がない」とたった3ヶ月で中退して、挑戦。しかし、初日3位発進の余裕の当確ラインから、最終日に83を叩き、まさかの転落を喫した。体格に恵まれ、数々のタイトルも手に入れ、将来を約束されてきたジュニア時代から考えれば、それは、思いも寄らない挫折だった。
このときばかりは市原も、声を張り上げ大泣きしたそうだ。
それでも、これまでの練習・体力・経験不足を反省し、すぐに気持ちを入れ替えた市原は、日本を飛び出し、アメリカのミニツアーやアジアの試合を転々としながら、技と心を磨いてきた。
2000年3月には、アジアのタイPGAが主催するタイランド・マスターズで、デビュー後初のV。そして、昨シーズンは「勝ちに行って勝てた」チャレンジツアーでの2勝、さらに、「取りに行って取れた」同ツアーの賞金王。着々と実力をつけ、とうとう今季ツアーの出場優先順位1位の座を、手に入れたのだった。
「開幕が、待ち遠しい」という2003年シーズン。「目標は、初シード入り、ツアー初Vと、いろいろあるけど、口で言ってしまうのは、簡単です」と市原。「それより、ひたすら目の前の1打に専念することが先。やるべきことをやらないで、結果が出るわけもない。すぐに前にでてしまう欲はひとまず押さえ、良いゴルフをすることだけに、集中していきたい」。
このオフは、「小技の練習に、重点をおいてとにかく練習です」という。開幕にむけ、市原の挑戦はすでに始まっている。
* チャレンジツアー賞金ランク上位5位までの選手には、次期ツアーの出場優先順位5位までの資格が、与えらます。ファイナルQTによる優先順位は、そのあとに続きます。