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国際オープンゴルフトーナメント 中日クラウンズ 2000
一度はあきらめたベストアマチュア賞を手に入れ、「今年はとにかく諦めないこと」
たった2人、本戦に残ったアマチュア。「何十人もツアープレーヤーの皆さんの中がプレーしてらっしゃる中でも、僕ら2人は1対1。互いに常にベストアマチュア賞を意識して、戦っているんです」と中嶋君。
14番でこの日5つ目のボギーを叩いたとき、「それでも諦めずに『10オーバーまで戻せたら』と必死にプレーした」ものの、最後の18番もボギー。ホールアウト後は、クラブハウスのソファにうなだれ、「ショックです。もう帰ります」と消沈、帰り支度まではじめていた。
だが、中嶋君にとっては、朗報が届く。ライバルの竹中さんがプレッシャーのためか、15番から連続ボギーとしたのだ。さらに竹中さんは17番でもボギーを叩き、中嶋君とタイスコアに。
もし竹中さんが18番をパーであがれば、ベストアマチュア賞をかけてプレーオフに突入だ。いてもたってもいられなくなった中嶋君は竹中さんのプレーを見ようと18番グリーンに向かいかけた。だが、大勢のギャラリーにはばまれ歩けない。中嶋君はすぐにハウスに舞い戻ってきて、プレーオフの準備を始めた。
竹中さんの最後のパーパットは左グリーンエッジ。ピンまで2メートルの微妙な距離だ。慎重に狙って打ったパットは、わずかにはずれてボギー。その瞬間、中嶋君のベストアマチュア賞が決まった。
ホールアウトしてきた竹中さんに、笑顔で握手を求められ、複雑な表情で応えた中嶋君。「こんな勝ち方もありなんでしょうか…。お互いにもっと納得のいくゴルフをして、『まいった』と言ってもらえる勝ち方がしたかった。こんなんじゃ、(喜びが)実感できない」と戸惑いは隠せなかった。
しかし、勝ち方はどうであれ、日本オープンのローアマチュア賞につぐ、ビッグタイトル獲得だ。敗れた竹中さんを気遣って、幾分声を落しながら「待っていたら落ちてきた、という感じです…今年の課題は諦めないことですね」と語っていたが、次第に心の整理をつけ、最後には「本当に嬉しい」と満面の笑顔になった。
写真;日本オープンでもコンビを組んだ、キャディの中田恭平君(=右)と喜びをわかちあう。中田君は、大学ゴルフ部で中嶋君のひとつ後輩。「中田は一見ぼ〜っとしてるけど、すごく頼りになるヤツなんです」(中嶋君)。