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三井住友VISA太平洋マスターズ 2008
石川遼「明日はゼロからのスタート」
初ラウンドで、さっそく17歳に最高の賛辞を送った。
「遼くんは、タイガー・ウッズと同じようなオーラが出ていた」。
他者への気遣いや礼儀正しさ、人当たりの良さ・・・。
「その中に、絶対に誰にも負けないというような、内に秘めたものを強く感じる」。
中学2年で単身渡米。アマチュア時代から、ともにしのぎを削った。そして何より米ツアー1勝の今田だからこそ分ること。
「タイガーもそうなんです」。
ゲームプランも同じという。
「僕らのような普通の選手は、それまでの経験からまずはどこへ外しちゃいけないかと考えるけど、遼くんはどこへ落とせばバーディが取りやすいかと考える。ミスしたことは考えないのは、自信があるから出来ること。僕には絶対に出来ないこと」。
今田も圧巻のプレーは前半の11番から始まった。
230ヤードの第2打を3番アイアンでグリーン奥のカラーに運び、8メートルをパターで決めてイーグル。
ボギーを打って引きずらず、すぐに直後に取り返す。
17番は前日のプロアマ戦で、ニアピン賞を獲得したパー3。
「5番アイアンは、昨日と同じイメージで」。
ピンそばにピタリとつけた。
そしてピンチもチャンスに変える。
6番パー5はティショットを林に打ち込みながら、残り145ヤードの第3打はピン1メートルにつけてこれを沈めた。
今田いわく、石川の良さは思い切りの良いショットだけではない。
「凄いのは、彼がパットも上手いこと。それと精神面。予想をはるかに上回っていた」。
ひとしきり、ベタ褒めしたあと最後にこう締めくくった。
「いまここにいる中で、世界に一番近い選手じゃないでしょうか」。
その今田の言葉を伝え聞くなり石川は、ほんのりと頬を染めた。
久しぶりにハニカんで、「ウソ(お世辞)だと分っていても、すごく嬉しい!」。
1イーグル6バーディ(2ボギー)の6アンダーは、自身初の初日単独トップタイに「何ヶ月ぶりかで爆発できた」と喜んだ。
しかし、すぐに気持ちを引き締めた。
「今日、1番で終れたのはたまたま調子が良くて、ラッキーだっただけのこと。ここは初日良くてももしかしたら予選落ちするかもしれないくらい難しいコース。明日からは、もう一度ゼロからのスタートです」と謙虚だった。