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住建産業オープン広島 2000
「ツアープレーヤーですからね、いいスコア出してナンボなんです」
どんなに曲がっても、どんなにラフに入れても、「ツアープレーヤーですからね。いいスコア出してナンボなんです」と合田洋が胸を張った。
この日、ティショットでフェアウェーを捕らえたのは、5ホールだけ。後半のインコースに至っては、「12番だけ」で、あとは全部ラフに入れたが、「曲がったらそこから打てばいい」と、開き直ってパーを拾いまくった。
94年の日本プロに勝った前後は、「そうは思えず苦しんだ」という。「まっすぐ打って、きっちり乗せる…そういうかっこいいゴルフにばかりこだわって、スコアが作れなかったんです」
スタイルにこだわるあまり、日本プロ以後は一度も賞金ランクによるシード権が取れなかった。
昨年になってそんな合田に、“新しい風”を吹きこんでくれる人があらわれた。
その一人目は先輩の佐藤剛平だ。たまたま、夕食の席で一緒になった佐藤が、合田に言った。
「たとえ、自分のゴルフが50%の出来でも、スコアを出して来れないやつはプロじゃない。80%以上のゴルフなら、60台を出してくるのが当たり前なんだ」
その言葉が、合田の目を覚まさせた。
「まっすぐに行かなくてもいい。ラフからでもスコアを作ってくるのが、本当なんだ」。吹っ切れたと同時に、合田のゴルフが変わった。
「それまでは、コースがすごく狭く感じていた。考え方を変えたら、『こんなにコースって広かったんだ』と思えた」
今季これまで14戦出場してトップ10入り3回。そのかわり予選落ちも6回と少なくはないが、「どんなに悪い位置でまわっていても、雑にしない。調子が悪いときほど、粘って粘って粘り通すことを忘れない。これを僕に教えてくださったのは、ジャンボさんです」
昨年の三菱自動車トーナメントで一緒にまわった尾崎に、「粘りを忘れるな。お前のいいところはそれなんだから」と諭された。
「佐藤さんもジャンボさんも、僕の恩人です。一生の宝です。他にも、島田(幸作、JGTOチェアマン)さんもいつも僕を気遣って、カツを入れて下さるし、今日一緒にまわった湯原さんや藤田君、みなさん学ぶべきところがある。見ていて勉強になる方々ばかり…その点、僕は才能がないから、…ひたすら頑張るしかありませんね(笑)」。