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3連覇を狙う欧州チームは「セベのために勝つ」
今年キャプテンをつとめるホセ・マリア・オラサバルが、7日(水)に大会オフィシャルホテル(タイ・バンコク)のシェラトン・グランデ・スクンビットで行われた共同会見でも、同日夜の前夜祭でも再三、繰り返したことは、「セベのために、今年も優勝を持って帰る」ということ。
第1回の2006年から2年連続でキャプテンをつとめ、欧州にロイヤル・トロフィをもたらしたセベ・バレステロスが病いに倒れたのは昨年10月だった。
数時間にも及ぶ脳腫瘍の除去手術はそのあと4度にも及び、いまも闘病生活が続いている。
昨年はタイ国王の姉の逝去で大会が中止となり1年空いて、3回目を迎えた今年も当然、3連覇のために指揮をとるはずだった。
欧州とアメリカの対抗戦、栄光と伝統の「ライダーカップ」でも、何度も欧州を勝利に導いてきた闘将はしかし、やむなく全権を同郷(スペイン)のオラサバルに任せた。
そのあとオラサバルは何度かセベの病床に足を運び、キャプテンとしてのアドバイスを仰いだ。
オラサバルが振り返る。
「でも、彼が言ったことはたった一言だけだった。“とにかく、勝って来い”と…」。
そして共同会見ではそのセベからオラサバルと、チームに宛てた手紙が読み上げられた。
「私もいま人生でもっとも難しい“マッチ”に挑み、それに勝とうとしているところです。そのために今年、君たちと一緒にそこにいられないことは非常に残念ですが、私の心はいつでも君たちとともにあります…」。
じっと聞き入っていたオラサバルは、最後の下りにさしかかるころ、堪えきれずにうっすらと涙を流したがそれも一瞬で、すぐにあのマスターズでも2勝の闘う男の顔に戻った。
「セベはプレーヤーとしても、キャプテンとしても、私のお手本。ぜひ私も彼の後を追いたい。私はこの8人の代表メンバーが、今年も必ず勝利をものにすると信じている」。
キャプテンが3連覇への思いを新たにした瞬間、欧州チームはますます固い絆で結ばれた。