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ダンロップフェニックストーナメント 2006
パドレイグ・ハリントン「日本ツアーで勝てたこと、それが一番嬉しいです」
その中で、小さなミスを重ねて苛立ちを抑えきれないウッズを横目に、虎視眈々とチャンスを伺っていた。
「メンタルゲームは、慣れているから」。
国技のアイリッシュフットボールなど、幼い頃から親しんできたチームスポーツで培われたのは平常心。
「僕は、絶対にコースで怒ったことがない」と、言い切れる我慢強さ。
一時は、ウッズに3打差つけられながら諦めなかった。
世界最強の男が見せた、わずかな隙を逃さなかった。
ショットの不調もあってか、「彼は守りに入っている。ひとつでもバーディを取って2打差にすれば、チャンスはある」。
バーディ、ボギーであっという間に形勢は逆転する。
「ゲームの流れは一瞬で変わる」と読んだのだ。
そしてそれは、332ヤードの13番パー4でやってきた。
飛ばし屋なら左林を楽々と超えて、ワンオン可能なチャンスホール。
ここで安全策を取ってアイアンを握り、パーに終わったウッズにバーディで詰め寄った。
16番のボギーでいよいよ捉え、プレーオフに持ち込んで、史上2人目となるはずだった3連覇を食い止めた。
最終日、首位でスタートしたときのウッズの勝率は約90%。
プレーオフ記録は、14勝2敗。
並みの選手なら、思わずひるんでしまいそうな輝かしい記録の数々。
「でも、それもすべては破るためにあるものです」と、平然と言ってのけた。
相手がウッズだから、という気負いはない。
嬉しかったのは、あのウッズに競り勝ったことでもない。
「日本ツアーで初めて勝てたこと・・・。ヨーロッパとアメリカ、アジアとそして日本。これで世界の4ツアーで勝てた。それが嬉しい」と、ハリントンは言った。