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ファンケル沖縄オープン 1999
生涯獲得賞金ランク25位の資格で特別シードを持つ山本善隆
ちょうど当確ラインにいる賞金ランク68位の兼本貴司は、もし山本に抜かれれば来週のクォリファイングトーナメント(予選会)に行かねばならない。今週の山本の結果が、兼本の運命を左右しそうだ。
必死にプレーする兼本の様子を伝え聞くと山本は、「確かに、生涯獲得ランクの資格はハンディをひとつもらったようなものかもしれないが、僕も今年の賞金ランキングに入りたい気持ちは同じ。これは譲れない」ときっぱり。
自身も若い頃、連続して獲得していたシード権を取り損ね、予選会に行ったこと(81年)があった。「あのときはプレッシャーでボールが当たらなかった。たまに当たっても、真横に飛びだしたり、思いもよらない方へスイングになってしまった。あのときの精神状態は普通じゃない。一種の病気だった」と当時をふりかえったあと、「兼本はいままさにその状態だと思うが、いい経験と思って、乗り越えてほしい」と厳しくも暖かいエールを贈った。
大会2日目は68でまわり通算3アンダーの25位タイ浮上。「明日以降もいい緊張感を持って60台でまわれれば…。楽しみになったきたね」とニヤリ。
「『自分は生涯獲得によるシードがあるから』と、油断した時点で勝負は終わり。どんなときも1打1打に集中していなければ負ける。気を抜かないで、攻め続けたい」山本が勝負師の顔になった。