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日本オープンゴルフ選手権 2010

一昨年のローアマ、大田和桂介さんは天国の父親に

この日本オープンはプロ100人に交じり、21人ものアマチュアのみなさんも参加してプロ顔負けのプレーを披露している。

石川遼と並んで4位タイにつけた松山英樹くんに次いで、好スタートを切ったのが、日大4年の大田和(おおたわ)さんだ。

極度の緊張の中、ティオフした。一昨年のローウェストアマは、もはや大勢のギャラリーにはのまれることもない。
理由は同伴競技者だ。丸山茂樹は、母校の大先輩であるばかりか、「僕のゴルフ人生で、もっとも尊敬する人なんです」。

憧れの選手と初の同組ラウンドに、コチコチだった。
まして、もうひとりの松村道央も日大の先輩で、なおさらピリっとした空気の中で、「凄く良い雰囲気で回らせていただいた」と、感謝する。

大先輩に挟まれてのプレッシャーも、スタートの10番ではねのけた。
10メートルのパーセーブで最初にピンチをしのいだことで、気持ちが落ち着いた。

15番では、ボールが完全にバンカーに埋もれ、アンプレヤブルを宣言してもなおグリーンに乗らず、ダブルボギーを打ったがクサらなかった。

難コースで1アンダーと粘った上に、「今日は先輩2人と回れて幸せでした」と、充実の初日を終えた。

まだ、アマチュアながら「僕が家族を養っていかなければ」との切実な思いで戦っている。8月31日に、ゴルフの手ほどきをしてくれた父・勇さんが、亡くなった。
享年53歳。勇さんが切り盛りしていた中華料理店も、たたむしかなくなって「母と妹は僕が面倒を見なければ」との覚悟でいっぱいだ。

「プロになって家族を支える」。今週のゴルファー日本一決定戦は、その試金石。難コースで、トッププロを相手に、どこまでやれるか。
「良いスコアを出さないと、見守ってくれている父も、喜んでくれないでしょう?」。
自身2度目のタイトルで、天国のお父さんを安心させる。


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