Tournament article
三井住友VISA太平洋マスターズ 2010
宮本勝昌は「ドキドキを味わわせてあげたい」
5つのボギーに対し、バーディは7つ。
その分、パーはわずかに4つという、なんともいえない見事な構成に「こんなの、初めてかも!」と、吹き出した。
こんな風の強い日は、特に御殿場の高速グリーンが牙を剥く。ただでさえガラスのグリーンに加え、強い風にボールがプルプルと震えるさまは、「動かないでくれ、と思いながら打ったり」。それだけで集中力がそがれる。
案の定、山あり、谷ありの1日は、最後の最後にきっちりと帳尻を合わせて上がってきた。
最終18番は、330ヤード超を記録したティショットも、残り184ヤードの第2打も、奧から4メートルのイーグルトライも「どれも完璧なショットが出来ました」と通算6アンダーにして、首位タイ浮上。
数字だけ見れば大暴れの1日も、この日のコンディションを考えれば、「内容的には大暴れ、というわけでもなかったと思う」と納得の18ホール。
練習日に師匠の芹澤信雄に「2年ぶりで、いいゴルフ」と褒められた。その自信も失われることはない。
コースから車でわずか15分の御殿場市内に住まいを構えて早6年目。ポケットには普段から同市の観光親善大使の肩書きを記した名刺をしのばせて、地元アピールにつとめる。
地元でのV9なら、これ以上の宣伝効果はない。
ツアーでも数少ない自宅通勤の今大会は、家族に雄姿を見せられるチャンスでもある。
特に、なかなか遠出もままならなくなってきた父・勝雄さんはこの地元大会をせっかく見に来ても、きわどいパーパットを打つときは、確認もせずにさっさと歩いていってしまう。
そのくせ、あとから息子の嫁の朋美さんに、「あれはどうだったか」と、聞いている。
「そんなに気になるのなら、自分でちゃんと見ればいいのに。怖いんでしょうねえ」と、その心境を思いやりつつ「明日、明後日も父親にドキドキを味わわせてあげたい」。それが何よりの親孝行だ。