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カシオワールドオープン 2010
宮本勝昌は「明日はどうなるんでしょう?!」
団子状態のスコアボードを見上げるにつけ、「みんなそれぞれの思いがあって、こんなに混戦になっている」と嬉しそうに言ったのは、特に金と池田の賞金王争いのことだ。この日、同組で回った池田についに、首位で並ばれた。「外から本命の馬が来て、4コーナーで並ばれた。予想どおり」と、むしろ胸を躍らせる。
そして金は2打差の6位に控えている。
「勇太が勝って、キョンテが2位なら2000万円くらい差で、来週に行くのか」と、現状にもやけに詳しい。
もちろん、19歳のチェックも忘れない。
「遼くんは、結局いくつ?」と、報道陣に逆取材。
「おぉ〜! 5! 明日頑張ったら分からないよね!」と、ますます目を輝かす。
「キョンテが勝ったら、終わってしまうし、勇太が崩れてしまっても終わってしまうわけだから・・・。どうなるんでしょう。楽しみですねえ」と、目を細めてから、重大な事実に気がつく。
もしも、いよいよ最終日に宮本と金で優勝を争うことになったら・・・。
「責任重大ですね」と、報道陣に突っ込まれて少し慌てた。
金に競り負けたら、最終戦を残して賞金レースにも、決着がついてしまう。
苦い記憶がよみがえる。
「そういえば、昔もそういうことがあったよね。当時、石川遼というアマチュアがいて、僕が最後の砦みたいな・・・」。
あれは2007年。マンシングウェアオープンKSBカップで当時15歳の石川を阻止する最後のチャンスが宮本だった。
しかし、2メートルのバーディチャンスを外して、最年少Vを譲った。そのあと「A級戦犯」と、心ない人に揶揄されて、つらい思いをしたものだ。
だからというわけではないが、自らも気合いが入る。
前日2日目はあれほど、「ケアレスミスをなくしたい」と話していたのに、この日は10番パー5で2打でグリーン近くまで運びながら、ボギーを打った。
「あんなに自分でも言っていたのに・・・。ただ救いは今日がまだ、3日目だったこと」。
ここ黒潮のグリーンは、確かに芝目にクセがある。「見えない傾斜がいっぱいあって、しかも見た目以上に傾斜が強い」と、宮本も例外なくパッティングに苦しみながらも、首位でこらえた。
「僕だって勝ちたい・・・。けど、明日になってみたいと分からない」と、慎重に「期待するとしたらパット。今日の終盤は良くなった感じがあったので。ミドルパットが炸裂してくれたらチャンスはある」。
自分以外の興味事があるときに、なおさら強さを発揮する選手でもある。
賞金王争いに割って入った宮本の戦いぶりにも、大いに注目だ。