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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2010
宮本勝昌が単独首位に
「今シーズンで、最高のゴルフが出来ました」と、自画自賛したのも当然か。
硬く速いグリーンは、ラフから打ったらノーチャンス。またグリーンだけでなく、フェアウェーも硬く締まって、「転がりすぎて、ラフに行っちゃうことがある。今年は難易度が凄いです」。
今季のツアープレーヤーNO.1決定戦は、「予想以上に難しいコンディション。まさにメジャーにふさわしいセッティング。自分の中では、4日間でアンダーパーならトップ10には入れるイメージです」。
もっとも、初日はまだ序の口だ。日を追うごとに、コースはますます牙を剥くだろう。
「最終的に、アンダーパーは4,5人しかいなくなる」と、予測したリーダーは、この日自らが出した69にも「もう、出ないでしょうね」と、断言した。
「こういうコースは良いプレーをしても、いい結果が生まれないこともある。気持ちをうまくコントロール出来ないと、ボギーが止まらなくなってしまう」。
その抑止力は、師匠のアドバイスだった。
2週前のオープンウィークは、ラウンドを予定した日が大雨にもかかわらず、弟子のために9ホールを付き合ってくれた。
そこで指摘されたのが、状況によってばらつきが出るアドレス。
練習場では矯正器具を使い、せっかくスクエアに構えられているのに、試合になると「同じアドレスが取れていない」。
それは、難コースを前にしたときほど顕著で、「左足体重に構える気配が強くなる」。朝の練習場で、師匠の教えをいっそう肝に銘じてコースに出ても、練習場と同じアドレスを心がけたことで、拠り所が出来た。
好調を取り戻した。
兄弟子の活躍も励みだ。
現在、賞金ランク2位につけ、今季絶好調の藤田寛之は、3つ年上だが20代から30代前半にかけて、宮本のほうが勝ち星が上だった時代もあった。
でも今ではすっかり抜かれ、「藤田さんの活躍が嬉しいのが6割、悔しいのが4割」。
日頃から、切磋琢磨の練習仲間の活躍に、「いつか追いついて、追い越してやる、という気持はある」。誰よりも刺激を受ける存在にも、強く背中を押されている。
大会の地元、ここ茨城県は「ゆかりのある土地」でもある。水戸の水城高校で、3年間を過ごした、いわば「準・地元」。同市内に宿を構えた今週は、実に20年ぶりに同級生のご両親が営む食堂を訪れ、学生時代と変わらぬ大盛りご飯を振る舞われ、「僕、もう38(歳)ですよ」と、苦笑いをしながらお腹いっぱいいただいた。
「そういうのっていいなあって。年齢を経て、凄く思うようになりました」。
屈指の難コースに、この日、ラウンドに要した時間は5時間を超えた。「いつもの1ラウンドを終えたのとは疲労感がまったく違う。ぐったり来ている」。
これがあと、3日も続く。「まだ先は長い。1日1日をリセットして、挑みたい」。
思い出が一杯詰まった土地で1日ごとに疲れを癒し、再び過酷な戦いの舞台に立つ。