Tournament article
コカ・コーラ東海クラシック 2011
谷昭範(たにあきのり)が首位タイに
ゆったりと広い「飛ばし屋有利」のコースは、むしろ苦手だ。その点、難攻不落と呼ばれるここ三好は、ラフが深い難コースに、「フェアウェイに置けば、僕にもチャンスがある」と思える。「我慢大会のほうが好きだから。ここに来ると想定どおりのゴルフが出来る」。
それにしても、この2日間を通じてフェアウェイキープ率2位は意外だった。「自分ではそんなに上じゃないと思っていたけれど。みんなはもっと外しているんだ」と、思えばなおさら自信にもなる。
たとえラフに入れても近ごろ「掴むものがあった」というアプローチで「しぶとく拾えている」と胸を張る。「第2打から保険をかけて、外すなら安全なほうへ。ピンにがっつかずに攻めている」。
通算8アンダーは、ツアーで自身3度目の首位浮上に改めて、「このコースが好きです」と、相性の良さを口にした。
台湾生まれの帰国子女は、父の勧めで小2から始めた囲碁でプロを目指していた。帰国して、日本棋院の院生にまでなりながら、「やっぱりスポーツがやりたい」。周囲の反対を押し切って、いまは女子プロの姉・美稀子さんの影響で始めたゴルフにあっさりと乗り換えた。
中2から本格的にプロを目指して、98年にデビュー。昨季は賞金ランキング70位で、念願の初シード入りを果たした。
「ゴルフには“囲碁的”な発想は、ないほうが良かった」と思うときもある。
「神経質に、頭の中でマネジメントしすぎる。スポーツなのだから、もっと野生の勘でやったほうが良いのでは、と」。
戦略を組み立てる中で、「良くないことまで考えますし」と苦笑したが、石橋を叩いても足りないほどの難コースでは、それくらいがちょうどいい。
にわかに見えてきたツアー初優勝のチャンス。「優勝したいとは思うが、今はシードを取ることを第一に考える。身の丈にあったゴルフをします」。
囲碁では「戦闘タイプ」もコースでは、たとえ優勢でもがっつかない。