Tournament article
ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2011
宮本勝昌が4打差首位に
出だしの10番で、いきなり15メートルが決まって赤面した。ピンに寄せられなかったのが、偶然のように決まって「恥ずかしかった」と照れたが、この日はそのほかにも15番の8メートルや、7番の7メートルのバーディなど、63の快進撃は、「パットが入った。それに尽きます」。
541ヤードの16番パー5で、210ヤードの第2打を4アイアンでピンそば10センチにつける見事なイーグルもあったが、いかんせんショットには精彩を欠いている。
それで、今季はまだ賞金ランキングも48位にとどまって、「苦しい日々が続いている」。
師匠の芹澤信雄が目下、「駆け込み寺」だ。
「今年はもう何回、見てください、と電話をかけたか分からないほど」。教えてもらった直後は思うようなショットが打てる。「でもそれも一瞬」。手応えは、朝露のように消えてなくなる。「試合が始まれば、出来なくなってしまう」。その繰り返しに、悩んでいる。
「心技体、とはよく言ったもので」。
故障を抱える選手も少なくない、シーズン終盤のこの時期にも、すこぶる元気だ。2006年から続いている自身の147試合連続出場記録も順調に更新中で、「丈夫な体に生んでくれた両親には感謝です」と思うほどに、もどかしい。
「体の動きと、頭で考えていることが合致しない。テクニカルな部分。プロゴルファーなら当たり前のようなことが出来ない」。3つがなかなか揃わない。それが悔しい。
今大会は、日大1年の91年に初出場。「あれから20年」。今年40回目の記念大会は、宮本にとっても偶然、節目の年だ。また大会主催のブリヂストン社のクラブを初めて握ってから早20余年。
「契約選手なら、誰でも思うとおもうが僕も勝ちたい」。
かつて恩返しの絶好の機会は、2000年のこの大会。もうそこまで手が届きながら、最終日の15番ホールだけ自分のではないボールを使ってしまった。「ワンボール条件」の違反で2打罰を受けて、1打差に破れた苦い過去がある(※)。
11年目に巡ってきたリベンジのチャンス。
「最終日にこのスコアなら、気分よく帰れるのですが」。まだ大会は始まったばかりだ。ロケットスタートにも現状のゴルフでは、けっして予断は許さない。「必死にもがき苦しみながらも、少しずつスコアを伸ばしていきたい」。祈る思いで袖ヶ浦に立つ。
※2000年大会・・・3日目からの首位を守っていた宮本は15番で、自分のものではないボールを使ってプレーしてしまった。キャディが前日に、同じ組で回っていた別の選手にもらったボールをキャディバッグに入れていた。それを誤って宮本に渡してしまい、宮本もそれに気付かなかった。これが、ツアー競技の条件および競技特別規則の『ワンボール条件』に抵触。
ラウンド中に使用するボールは同じブランド、タイプのものでなければならない。この違反で2打罰を受けた宮本は、佐藤信人に逆転を許した。1打差2位に甘んじた。