Tournament article
TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Lake Wood 2011
宮本勝昌がコースレコードを更新
「石田社長に、来年もやってくださいと。女子にいかないで下さいと。そう言おうと思っていた」。
その日は朝刊で、今大会主催のトーシンの石田信文・代表取締役社長が「来年は男子をやるかどうか分からないと語った」と、あった。
とりわけ、今年の選手会長には気がかりなニュースに「勝って社長に大会をやめないでとお願いしよう」と、思えばますます優勝への意欲が沸いたものだ。
その時点で首位と1打差のホールアウトに、お裾分けしてもらったスタッフ用のお弁当で腹ごしらえをしながら希望を捨てずにクラブハウスで最終組のホールアウトを待ったが、「その夢が、叶わなかったのは悔しい」。
結局、2打差の単独3位に堂々と、晴れの舞台で伝えられなかったのは残念だが、「今日のプレーで社長に思いが届けばいい」。
恩人の心情に訴えかけるのにも申し分ないコース新の62は、「30センチも、20メートルのパットも全部入った」。17番で、4メートルのピンチも「ほんとに全部、入るんですもん。あれなら誰がやっても良いスコアが出せる」と、ボギーなしの10アンダーは、一度は石川遼のギネス記録(58)の更新さえ夢見た快進撃だった。
表彰式には出席出来なかったが、クラブハウスで石田社長とばったり会えて、改めて懇願した。「来年も、ぜひお願いします!」と、両手でその手を握りしめて心を込めて訴えた。
「これだけエキサイティングな戦いが見せられる大会を、僕らも大事にしたいんです!」。
今年は3月に未曾有の災害が起きて、選手会長として例年にもまして開幕から奔走する日々が続いているが、それを今季の不振の原因に挙げるのは、本人が許さない。
「僕だけじゃない。選手みんなが心を痛めて、プレーに集中しながらも、オフの日はチャリティとか義援金活動とか。それぞれが自覚を持って動いてきたわけで。それを言い訳にするのはおかしいでしょう」と、今季は14試合が終わってまだ賞金ランクの70位台をさまよう自分に厳しい。
「原因は分からない。スコアが出ないから練習する、上手くいかなくて焦る、予選落ちをする、という悪循環。でもツアーのレベルがどんどんと上がっていく中で、苦しんでいるのは僕だけじゃない。長くシードを守ってきた選手が毎年、何人か脱落していく中で、そこを打破して切り拓いていくしかない」。
2006年から今大会まで、自身の141試合連続出場記録の更新にも、貪欲だ。今年も途切らせないためには、今季の優勝者や賞金ランキング上位者など限られた選手にしか権利のない最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」に何としても、駒を進めなければならない。
「もちろん、それを念頭に置いて戦っていく」。
これを弾みに、選手会長が今年も本業との両立を目指していく。