Tournament article

マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント 2012

宮本勝昌が「僕は勝てないからね」と

上位選手がみな、金庚泰(キムキョンテ)への対抗心を燃やす中で、ひとりのほほんと優勝争いに加わったのが宮本だ。5バーディ1ボギーの68は「特にドラマもなく」。ティショットを再三ラフに入れて、「フェアウェイキープ率は見たくない」と顔をしかめた。そのわりには首位と3打差の通算9アンダーには、「会心ですね」。

「あれほどフェアウェイから打ってる記憶がないのに、このスコアですからね」としれっと、単独2位に浮上した。

宮本のすぐ下には金と4打差の3位タイにつけた石川遼。2010年大会は、2008年のプロ初優勝に続く大会2勝目のチャンスを金に阻まれた。その石川の顛末を宮本もよく覚えていて、「もう今週は、2年前のキョンテと石川の戦いで、遼くんのリベンジなるかでいいんじゃないでしょうか。遼くんは、今年初優勝もかかっているし」と、勝手に最終日の筋書きを書く始末。しかもそこに自分は“出演”もしていないのだ。

「自分はゴルフでピンと来るものがまったくないし、勝てるような気もしない。2人の間に割って入る気もしない」。

はなから諦めムードは、2010年の「日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills」から、勝ち星に見放されている間にも、復調の兆しさえ感じ取ることが出来ずに「僕には優勝争いをするという武器がない」。

不惑の年を迎えて「言いたくはないけれど、歳のせい」。
近頃では試合を終えて、宿に帰るとどっと疲れて、夜9時のニュースを見て、最後のスポーツコーナーが終わればテレビのスイッチを消して、本でも読もうかと、ベッドに潜り込むなりそのまま寝てしまうという毎日だ。

「疲れますよ〜。もうおっちゃんですよ」とせつないため息。
いつもは励みになるはずの兄弟子の藤田はこの日、76を叩いてらしくない失速に、「あの人ももう43。そうそういつも、上手くはいかないですよ」と、口から出るのはネガティブな発言ばかりだ。

「こんなことばっかり言ってたら、師匠に叱られちゃうな」と今週は、シニア日本一を決める「日本シニアオープン」で奮起する芹澤信雄の視線を気にしつつ、「勝ちたい気持ちはある。でも僕は勝てないからね」と、とことん諦めムードで挑む週末だ。




関連記事