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マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント 2012

井上信は「愛の手をさしのべていただきました」

今年から、石川遼とともに、“ホストプロ”として戦う。仲良しの矢野東とともに、「株式会社マイナビ」と、スポンサー契約を結んだのが井上信(いのうえまこと)。

「ダメなプロに、愛の手をさしのべていただきました」と笑う。
2004年の歴代覇者も、出場権のない今年は主催者推薦を受けての登板だ。

マイナビが、特別協賛についたのは2008年大会。
記念すべき初年度のプロアマ戦で、中川信行・代表取締役社長とラウンドしたのが井上だった。

以来、交流を深めてきた恩人が、声をかけてくださったのはこのオフ。
「今年は試合も出られないので大変でしょう」。
おっしゃるとおりだった。

ツアー通算2勝の選手も昨年は、左手親指付け根をひどく痛めたことも重なって、シード落ちを喫した。
そんな状態では、翌年の出場権をかけた予選会・ファイナルQTでも良い結果を残せるわけもなく、出場権すら失った。
そこに思わぬ助け船。

今年は、レギュラーツアーの登竜門「チャレンジトーナメント」からの復活を心に決めていた井上は、社長に念押しをした。「ツアーはほとんど出られない僕でも、いいですか?」。
快く、サポートを約束してくださった恩が胸に染みた。

2004年の今大会は、“史上3人目”の快挙だった。週の月曜日の予選会「マンデートーナメント」から勝ち上がった。まさに底辺から這い上がって得た歓喜のツアー初Vは、仲間の胴上げで池に落とされる際にラフに落下して、肋骨を骨折する大珍事に、翌朝のワイドショーを賑わすというおまけつきだった。

すったもんだの優勝も、ここABCゴルフ倶楽部との相性は悪くないはず。
しかも、先週のチャレンジトーナメントは“最終戦”の「JGTO Novil FINAL」で辛くも賞金ランク7位につけて、来季前半戦の出場権を取り戻したばかりと、勢いもある。

しかし、今年はこれでやっとツアーは3試合目という現状には警戒もある。
コースは毎年、「ガラスのよう」と称される高速グリーンもさることながら、「ここはティショットが鍵を握る。セカンド以降にきっちり乗せられるところに打てなければ、アプローチが非常に難しくなる」。
ブランクが長いほど、ツアーのセッティングへの畏怖も強まる。

それでも、今週は恩返しの活躍がかかっている。ツアー通算3勝目で一発大逆転のシード復活、とまでは贅沢いわない。
「一瞬でも存在をアピール出来れば」。
頑張っているところを恩人に見せられれば。

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