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ダイヤモンドカップゴルフ 2013

「復活、大洗。」

過去5度の賞金王を誇る、地元のヒーローにとっても、復活にはこの上ない舞台だ。今年のダイヤモンドカップゴルフは、前身の大会から数えると、44回目という長い歴史の中でも初めて、明確に大会テーマを定めて開催される。

「復活、大洗。」

2年前の、東日本大震災ではあまり知られていないが茨城県も、被災地であった。開催コースのここ大洗町も、大きな津波が町の大半を襲い、自らも地震で生家を失った片山にはなおさらコースのことが、気がかりで仕方なかった。
今年は4年ぶりに、大会がここ大洗ゴルフ倶楽部で行われることが決まって、コースのスタッフに尋ねて歩いた。
「被害と復旧の状況は、いかがですか、と」。

確かに、すぐそばに海岸を望む10番ホールなどは「もうそこまで、波が来たって」。近くの民家も波にのまれて大きな被害は出たが、迅速な避難で死者もなく、またコースにも、それほど大きな後遺症はないと聞いて片山も安心したが、そのあとの風評被害は長く続いて客足も減り、海産物や名産品の売れ行きは鈍り、地元の方々を大いに悩ませたという。

だからこそ、大会は震災から2年を経た今年、この舞台に舞い戻った。
このコースで大会が行われるのはこれで10回目。
「ダイヤモンドカップといえば、大洗というイメージを持ってくださっているファンの方も多いのではないでしょうか」とは、大会事務局長で、大会主催の関西テレビ放送株式会社の安渕修・スポーツ部長。

毎年、チャリティをいちばんの開催目的に掲げてきたトーナメントだけに、なおさら大洗町の復興のために、一丸となって大会を盛り上げようとしている。
会場入りするなり、茨城弁を器用(?)に操り、「晋呉さん、なまりすぎだよ」と突っ込まれれば「なまっているのではねえ。これが標準語だぁ」と、ムキになって言い返す地元愛を駆使して、一役買いたい。
難攻不落とおそれられるコースは、過去5度の賞金王ですら、まだ優勝経験がなくて、夢は最終日の最終ホールで「大洗で大笑い!」と、優勝スピーチをすること。
「でもいつも、泣いて帰るばかりで」と、その難しさは承知の上で、2008年から見放されたままの勝ち星を、取り戻すにもこれ以上ない舞台。地元に笑いを届けるために。復興と、復活を目指すここ大洗で片山も二人三脚のように、復活をにらんで歩く。