ありきたりな表現だけど、まさに“笑う門には福来たる”。ずっと苦手だと思い込んでいたはずのコースで、いきなり首位タイ発進すれば、その効果を実感しないではいられない。「今日は８つもバーディが取れて。記憶にないくらいにいいスコアが出た」。名物の高速グリーンも「ここはずっと入らないと思ってきたけど。珍しくパットも入った」と、いいこと尽くしに、前日は水曜日のプロアマトーナメントでの組み合わせに感謝しないではいられない。

一緒に回ったのは、ベテラン俳優の神田正輝さん。ラウンド中に、ふとこんなことを言われた。
「やっぱり、笑顔は大事だよね！」。
驚いた。近藤が、先週の大会で痛感したことでもあったからだ。
「ほんと偶然なんですけど、なんかいま自分が思っていたことと、凄くリンクして」。

近頃は、日々試行錯誤を重ねているのに、なかなか結果が出ないという焦りから、冴えない表情でゴルフをしているなという自覚があった。「全然、ゴルフが楽しくない。これではいけない」と先週、反省をしたばかりだった。
それだけに、神田さんの何気ない言葉がすとんと、腹に落ちた。
「やっぱりさ。眉間にしわを寄せて、下向いてやってても、いいことないよね」。
まったく同感だ、と何度もうなずいた。

今週のテーマは決まった。「スコアが良くても悪くてもそんなことには関係なく、楽しく回ろう」。そう心に決めた途端の好発進だ。

今日は１日笑顔で回ってきた近藤の眉間に最後にしわが寄ったのは、周囲から明日の天気を聞いたとき。
「やっぱり明日、雨なの？」。
そう言った瞬間に浮かべた厳しい表情を、報道陣に指摘されて両手の人差し指で、慌ててしわを伸ばして笑顔を作った近藤だった。