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〜全英への道〜ミズノオープン 2013

小田龍一は全英オープンよりも「今は普通にゴルフができたら」

今でも泣きそうになる。最愛の父・修さんを亡くしたのは今年の開幕直前。5年前に脳梗塞で倒れて以来、入退院を繰り返していた。「いつかはという覚悟はしていた」。それでも、享年65歳。「こんなに早くとは、思っていなかったので」。

訃報は4月11日だった。そのつい2日ほど前に、プロゴルファーで四男の弟の新さんに赤ちゃんが生まれて、普段はほとんどつむったままの目を左側だけ無理矢理開けて、嬉しそうにしていたばかりだった。

「少し持ち直したと思って、嫁と喜んでいたのに」。
病状は急転。あっけなく、父は逝ってしまった。

5人兄妹の長男は、翌週の開幕戦を欠場して葬儀をつとめると、すぐ翌週のつるやオープンから復帰。しかし、ショットは「ぱらぱら」で、うまくスコアも作れないまま。

あの石川遼を下してツアー初Vの栄冠を報告したのは2009年の日本オープン。
お父さんはすでに倒れたあとで、会場には見には来れなかったが、とても喜んでくれたものだ。
「いや、もう気持ちの上では吹っ切れているつもりなんですけど」。ショットの不振を父の死のせいにはしたくない。「でも、もともと弱気な性格なんでね」と自嘲の笑みだ。

先週の会場で、練習ラウンドを回った池田勇太には、「気持ちの問題だ」と言われた。
この日は、朝のスタート直前に、きゅうきょドライバーを変えてみた。
「重くて硬めのクラブで振り切ってみよう、と」。ボギーなしの5アンダーは、今季自己ベストの67が出て、突然のギアチェンジが少しハマってくれたような実感はある。

今大会は、全英オープンの出場権がかかるが、「それよりも、まずは普通にゴルフができるように」。悲しみを乗り越えて、今度は天国の父に朗報を伝えたい。

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