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フジサンケイクラシック 2013
ツアー最長のコースで58歳が奮闘
あれほどに長く、両ツアーの最前線で活躍し続けることは、並大抵のことではなく「室田さんのようなプロになりたい」と、憧れる選手は非常に多いのである。
そしてもちろん、ギャラリーの方からの人気も厚く、この日もスタートの1番で、女性の黄色い声援が飛んだ。
「室田さん、頑張って!!」。
「ありがとう!」と、声のするほうへ手を上げかけたそのときだった。
ズルッ・・・、ドサッ!!
すぐそばで大きな音がした。驚いて振り向いてみるとそこには無残な姿が・・・。
プロキャディの中山邦広さん。自称「慌てん坊」は、「またやっちゃった・・・」。地面に境界線として引いたロープに見事に足を引っかけた。
「よくやるんスよ」と、苦笑いもどうにか大事なバッグは守って、大勢の視線が集まる中を、けなげに立ち上がった中山さん。室田ともども「頑張れよ!」との声援を浴びて出ていった。
そんなハプニングがありながら、出だしは見事なOKバーディに、胸をなで下ろしたのも中山さん。これでボギー発進ならば、中山さんにはやけに心苦しい1日になるところだった。室田がスタートでの気恥ずかしさを、あっさりと打ち消してくれた。
さらに4番からぴたぴたとチャンスにつけて、3連続バーディを奪うなど3日目にして、ツアーの開催コースとしては、最長の全長7437ヤードのコースで11位タイ浮上にも、58歳には何の欲もなく、「本当は、シニアは3日で終わりだから」と、達観しきりで「僕は4日間、完走することが目標だから」と、大ベテランはひょうひょうと富士山のふもとを歩く。