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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップ 2014

一生、忘れない

緊張と感動で、震える胸の鼓動・・・。北の大地で育まれた子どもたちの小さな夢が、やがていつか大きく羽ばたく日がきっとくる。大人たちの誰もがそう確信させられた、この日6日の最終日だった。

ミスターの名を冠するこの大会は記念の10回大会を迎えて今年も、何よりどもたちとの触れ合いを大切に、会場のザ・ノースカントリーゴルフクラブでは、あちこちで子どもたちの歓声が上がった。

午前10時。直立不動でミスターを出迎えたのは、「桜木メッツ」の面々だ。毎年、このセガサミーカップでは、記念植樹が行われる。「アオダモ」は、野球のバットの原料になる木である。今大会では、スポーツ振興活動の一環として、5年前からこの植樹活動を支援してきた。

毎年、最終日の表彰式で、プレゼンターとして大会に花を添える大会名誉会長の長嶋茂雄氏と、地元の野球チームの子どもたちが一緒に土をかぶせて苗木のすこやかな成長を願う。

平成生まれの子たちには、もちろんミスターの現役時代の生の姿は見たことがない。それでも、テレビで繰り返されるお宝映像や、昨年の国民栄誉賞の受賞式など、野球を愛するものなら誰もが胸に刻んだ名シーンは、子どもたちの心にも、尊敬と憧れの念をもって焼き付いている。

「高校野球で、バントを取った方でしょう? 去年の国民栄誉賞僕も見ました」と、声を震わせるのはキャプテンの石井良依(らい)くん(6年生)。
長嶋氏と一緒に土をかぶせるのは代表2人だけ。ミスターとの共同作業には残念ながらジャンケンであぶれてしまったが、最後の記念撮影で隣り合ったミスターの大きな手が肩に触れて、息が止まるかと思った。

「一生、洗えない・・・!」。
夢がいっそう膨らんだ。
「僕も長嶋さんみたいな凄い選手になりたいです」。将来の目標はプロ野球選手だが、石井くんには実はもうひとつ、内緒の夢がある。
「僕、ラーメンも大好きなんで」と照れくさそうに「ラーメン屋さんになるというのもひそかにある」。
プロ野球でいっぱい稼いで引退したら、そのお金でふるさとにラーメン店を開こう!
行列の出来るラーメン店。野球選手が一杯食べに来てくれるといいよね。
「今日はすごく良い思い出になりました。長嶋さんに会えて本当に嬉しかったです!」。
アオダモの木のように、みんなの夢も大きく育ちますように。