日本勢は20歳の久常涼(ひさつね・りょう)と、プロ転向1ヶ月の新人、中島啓太が通算9アンダーで、最上位の12位に入った。
久常も、中島も、最終ホールでトップ10入りを逃した。
久常の3打目。
右手前ラフから58ヤードのアプローチは、56度か60度で打つか。
60度を握った瞬間、「頭が真っ白」と、下をくぐったようなショットになり、すぐ目の前のバンカーに入った。
4打目でやっと3メートルに乗せたがパーパットは、「最後カップをリップした」と、縁をくるんと回って弾かれた。
痛恨のボギーで、ベスト10にも弾かれた。
「日本ツアーで経験できないくらいの声援だったりとか。自分では、感じていないつもりだったがホールを重ねるにつれて、順位だったり少し意識していたところで最後、体が動ききれなかった」と、重圧は最後の最後に来た。
「だんだんグリーンが小さく見えたりとか、プレッシャーがあったと思う」。
キャディのトム・ワトソン氏に2度、肩を叩かれたが「凄い悔しい」と、涙がこぼれた。
トップ10なら次々週の米ツアーにも出場できた。
「それがなくなっちゃったので。また、いちから頑張れたら」と、気持ちを入れ直して来月は欧州ツアーのファイナルQスクールに挑戦。
「いい経験とプラスに考えて、来年はヨーロッパやアメリカで活躍できるように。今日のことも、来年は笑って話しができればいいな」。
涙で腫れた目をして笑顔を作った。
中島も、「本当に悔しかった」と、奥歯を噛みしめた。
中島は、最後の18番でバンカーから寄せた3メートルのバーディチャンスが決まっていれば、9位タイ入賞だった。
「もちろん、ボードを見ながら考えていましたし、パッティングで勝負したかったが1個も決めきれなかった」と、最終ホールに至るまでの過程も含めて反省し、「今の自分の力」と、気丈に言った。
つい先月まで2年連続アマ世界1位で君臨し、プロ転向したばかり。
まだプロ3戦目の今週は、ショットの不振も吐露しながらだったが、「プロもアマも関係なく、ただ試合で勝ちたいという気持ちだけでプレーしている」とPGAツアーの舞台でも、元世界王者の志は高かった。
大会前には、アマ選抜コーチのジョーンズコーチに「プロなんだから、悪くてもスコアを作ってこい」と送り出された。
「悪い中でもできることはある。これからもしっかり試合を作る気持ちを忘れずやっていきたいです」と前を向いた。