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日本オープンゴルフ選手権 2016
平日初日から1万人余の大ギャラリーを集めた注目組は
今大会に限っていえば、データが残る1991年以降の最多数である。
この3人が登場した時には会場の興奮も、最高潮に達した。
アダムと、松山と石川の夢の組み合わせはしかし、この日は揃ってプレーで大観衆を熱狂させることは出来なかった。
3年連続出場のアダムはついに、この日はバーディがひとつも来なかった。「スコアが示す通りに、タフな1日でした」。
深いラフからラフを渡り歩く場面もあり、この日は距離のある4つのパー4をすべてボギーにするなど、圧倒的な飛距離も生かせなかった。
「こういう日にスコアメイクするにはパッティングが重要なのですが、今日はパットも決まらず厳しいスタートになってしまった」。
リョウとヒデキと大勢のギャラリーの大歓声を浴びて「他のメジャーに遜色なく、最高の雰囲気。楽しかった」と、その点では満足でも「みなさんにバーディを見せることが出来ずに残念」。
石川も地元埼玉で4年ぶりの大会出場も、こちらもひとつもバーディが取れないまま5オーバーと出遅れた。
史上最年少Vを達成してから、あれほどのギャラリーを集めた石川でさえ「今日は最初の数ホールで緊張して体がうまく回らなかった」。
スタートの1番では右の林に打ち込み、そこから木を抜く2打目も溢れたギャラリーがせり出し「みなさん、僕が横に出す前提なのか。“そこ、ちょっと打つんですけど・・・”」。
アダムと、何より松山が集めたこの日の大ギャラリーだと石川は言った。
「ナショナルオープンに、世界ランクで一番上の選手が出るというのは、大きな意味がある」と石川も「ずっとこの3人で回っていたい」とこの空気を堪能したが、せっかく体調は「100%」まで回復したというのに自身もプレーで魅せることが出来ずに「明日は、みんなでバーディをという雰囲気に出来ればいいな」。
プロとしては初出場の松山も恐縮しきりだ。
どこまでも続く人並みの中で、松山も石川同様に、あまりのフィーバーぶりに「びっくりして。ずっと緊張していた」という。
今季初戦の国内戦。アメリカで奮闘するヒーローの帰還をこれほどまでに待ちわびていたファンにも「あまり良いプレーが出来なくて申し訳なかった」。
ラウンド中も、石川と苦笑いで語り合うのは、コースセッティングのあまりの難しさのことばかりで、それほどの難コースで松山は1オーバーと、大ギャラリーにもどうにか粘る姿勢は見せられた。
「スコア的には大崩れしないで済んだ」と、まずは無難なスタートに安堵した。
本場の米ツアーでも、なかなかこれほどのギャラリーを集めて回ることはめったにない。
「初日、2日はよほど良い組に入らない限りこれほどお客さんがつくことはない。僕一人の力ではこんなに多くの人は呼べない。遼や、アダムも含めて男子プロみんながお客さんを呼んでいる」。
引き続き、一丸で今年の日本一決定戦を盛り上げる。
「明日からもっといいスコアで回りたい。それに向けて1打でも無駄にしないようにしたい」。
次こそ米仕込みのプレーで魅了する。