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パナソニックオープン 2016
永野も重永も、今週も熊本に心を寄せて
先週の最終日は、思わぬ反響もあった。ジャパンゴルフツアーの国内開幕戦「東建ホームメイトカップ」で4位タイにつけた重永。
「竜太郎も頑張ったし、2人の元気な姿に勇気をもらえたよ、と電話やメールをしてくれた人も一杯いて」。
庚泰 (キョンテ)と近藤のプレーオフに加わるのには1打、足りなかった永野。戦い終えてすぐに、安否が気になり電話をした友人は「僕が喋るより前に、“良かったね”と。いやいや、俺のことなんかどうでもいいんです、って・・・。大変な時なのに、ゴルフの試合を見ていてくれたんだ、って。ありがたかった。嬉しかったですね」。
今回は初Vこそ届けそこねたが、永野も、重永にも頑張った甲斐があったと思えた先週の日曜日だった。
重永の家族は、今も夜は車中で過ごすようにしているという。「余震が怖いから。でも、昼は普通に家で過ごせているし、買い物もレジに並ぶのは大変だけど、出来ている」。
本当に困っている人たちのために、出来るだけ避難所や、配給にも頼らず、自分たちでなんとかしよう、と家族とも話しているという。「こんなに大変なのは初めてなので。怖いのは分かるけれど、家や車がある人まで殺到したら、本当に必要な人たちに回らなくなってしまうので」。
重永には、すでに被災地で凶悪犯罪の報告がされていることも、気がかりでならない。
「それに乗じて強盗とか、本当にやめて欲しい」と、余震は収まりつつあるといっても、気がかりなことには変わりない。
もちろん、今でもすぐに帰りたいが、帰れない。
「今は、僕は僕がやれることをやるしかない」と、練習日のこの日火曜日も、長いこと練習場に居座った。
改造中のスイングもそうだが、「アプローチがひどい」という重永の練習を、永野が見てやっていた。
「竜太郎もそうだと思うけど、あいつはあいつで。僕は僕で。頑張ろうという思いがある」。
永野もまずは、次週の中日クラウンズまで全力を尽くして、熊本に戻ろうと思っている。「昨日から、飛行機も飛んでいるというし、帰るまでに情報を仕入れて、必要なものを持って帰ろう、と。ちょっとでも力になれればいいな、と思う」。
支援物資とともに、初勝利も持ち帰れるといいのだが。