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東建ホームメイトカップ 2018

最終日こそ、10万馬力だ!!

あの日から、2年を経た14日。この日は、18番グリーンに場所を移した“お立ち台”で、リーダーとしてマイクを握ったのは“アトム”。

「昨日はかなり弱音を吐いていましたけど、そうもいってられない。頑張らなくちゃいけないと思った。それがうまくかみ合った」。
ファンサービスの一環として、今年から選手会が始めた公開インタビューでは前日の永野に続いて重永亜斗夢も、故郷への熱い思いを吐露した。

熊本を震度7の揺れが襲った2年前のあの日。家族や親戚、知人の安否を気遣いながら、県出身のプロゴルファーとして、力を振りしぼった。
ニュースをかき集めて見た映像に、大好きな熊本城の、無残な姿が映ったときには涙がこぼれた。悲しみをこらえて同郷の永野とともに優勝争いを繰り広げて4位タイに入った。
もっとも辛い時に見せた底力。

「激震地だったところの復興はまだまだだけど、それでもみんな、だんだん前を向き始めていると感じる」。
ちょうど2年目のこの日は今年、史上最年少の選手会長に就任した石川遼の発案で、熊本県花のりんどうの色をイメージしたリボン型のピンバッジをつけて、プレーすることになった。
その心意気に感謝すればこそ、この日は誰より自分が頑張らなくてはならないのに、開幕直前にスイングを崩して「不安しかない。毎ショット、ビクビクして打ってる」。

その分、慎重なゴルフと、幸い絶好調のパットがかみ合い、まさに大事なこの日を見越していたかのように、神がかり的なプレーを連発。
後半は14番で1.5メートルのバーディパットを皮切りに、4連続バーディを奪った。
3つめの16番では、上の段から8メートルものフックラインは本人の「まさか、まさか」との悲鳴(?)に乗ってカップに飛び込んだ。
17番では、ディボット跡から刻んで89ヤードを残した3打目が、ピンに吸い付いた。
首位の石川をとらえるなり、一気に4打で突き放した。

2年目の今年、狙うはもちろん初優勝と言いたいとこだが「明日はメンバーもメンバーだし、自分には、勝つにはまだ足りないものもある」と、やはり弱音がついて出る。
自身4度目の最終日最終組で回るのは、片山晋呉と石川遼。
「ゴルフの歴史。2人ともそれくらいの人」と、畏怖すればこそ、「明日は4打差でも足りない。エブリワンじゃないと」と“ハンディ18”を、所望した。
「激ネガティブで、弱音しかはかない上に、ビビりです」。
10万馬力のはずなのに飛行機が怖くて遠征も、出来る限り愛車を使って、どこまでも地上を行く。
悩みの種の花粉症は、ひどい日なら「拭いたタオルが、水を濡らしたみたいに鼻水でグジュグジュ」。
テレビ映りを気にしつつも最終日も欠かせないというマスクは、「これをつけると成績がいい気がする」と、実は緊張緩和と験担ぎもかねている。

神頼みもぬかりない。
今週の月曜日には、熊本市内の自宅を出る前に、熊本城に鎮座する加藤神社で、恒例の勝利祈願。
「加藤清正公をお祀りする神社。勝負事に強いと言われていて毎年、初詣や試合に行く前や、成績が良くないときにお詣りしてくる。今年も好成績をお祈りしてきた。頑張って、いい報告が出来ればいい」。
最終日こそ、セイショコさんの力を借りる。

  • この日、やはり14番から4連続バーディを奪って、急浮上した竹谷(左)と共に立ったお立ち台。アトムよ。最終日こそ、マイクを握れ!

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