年末の戴冠をかけて、いよいよスパートをかけていく。賞金1位の周吾が3日目に2位浮上。
特に午前中は風が吹いたが「ティショットが安定していたのでピンチもなかった」と、ボギーなしで回った。

8番の3連続バーディで、2日目首位の同級生をひたひた追った。アルゼンチンのグリジョは、米フロリダの名門IMGアカデミーで同窓だった。全米ジュニアで当たって今平が勝ったことは、今も互いに忘れぬ因縁。
「あの頃から気が荒かった」と、最終日の同組ならちょっぴりやっかいだったが、後半はさらに3つ伸ばして、今や米ツアーの若き常連も軽々と超えた。

一歩後退したグリジョのかわりに最終日最終組で回ることになったのは、こちらもジュニア時代から知る同級生だ。
今平に2差で追われるリーダーの堀川は、今平との直接対決に戦々恐々。
「周吾はあの頃から、技術もハートの強さも別格でした」。

昔からプレッシャーがかかる場面ほど、平然と牙を剥くのが今平だった。
特に、堀川が底知れぬ怖さを見たのは、2015年のネスレマッチプレーだった。
8強でぶつかった序盤のパー5。
7メートルに2オンした今平。
「僕は、グリーン周りのバンカーから寄せて、1.5メートルのバーディパットで周吾にOK出されて7メートルのを入れられた。あれでもう、負けたと思わされた」と、今も忘れぬ堀川のトラウマ。
「あのとき敵わないと思わされた。そういったところで苦手意識がある。それも彼の作戦なのか、何も考えずにやっているのか。それならなおさら相当ハートが強い」と、いま振り返っても身の毛がよだつ。
「普段あんなに静かなのに。周吾のハートの強さはツアーいち」。
それだからこそ「周吾は、もっとも倒したい相手」と、堀川は言うのである。

しかし当の周吾は「あんまり･･･気にならない」といつものようにニコニコ言った。
相手が誰であろうと、強心臓は揺らがない。
何食わぬ顔で、偉業を狙う。

世界1位のケプカや、松山ら海外の招待選手がひしめく今大会の加算ポイントは「30」。ここで今季2勝目なら目標の世界トップ50が目前に見えてくる。
優勝賞金は4000万円。
夢の賞金王にもぐっと近づく。
「とりあえずチャンスのある位置でほっとしています」。
やはり賞金レースに加わった昨年はしかし終盤に体力不足で失速。今年は専属トレーナーをつけたおかげで、疲れ知らずで挑める。
「初日は腰に張りがあったが昨日、おとついと強めにやってもらって今日は良い感じだった。体調さえ良ければいつも通りにできる。明日も、いつもどおりにやりたいです」。
近ごろでは常に変わらぬ笑顔に逆に、凄みを感じさせるようになってきた周吾である。

• 今平 周吾
• Ｂ・ケプカ