Tournament article

ゴルフ日本シリーズJTカップ 2018

笑顔の挑戦者!! 堀川未来夢が青木と反省会

シーズン最終戦の翌日3日。午後から予定されていた年間表彰式の前に、来季の大幅なルール改定や、米ツアーの現状などを学ぶ選手セミナーが実施された。
その休憩時間の合間に堀川が、JGTO会長と何やら熱心に話し込んでいた。

前日の反省会をしていたという。
最終日は小平、石川、黄とともに堀川も、最終ホールをトップタイで迎えた。しかし、プレーオフには残れなかった。18番で、それどころか3パットのダブルボギーに沈んだ。
もっといえば前の17番パー5で、1メートルの絶好のチャンスを取り逃がした。単独首位獲りに失敗してあれだけ絶やさなかった笑顔もさすがにそこだけ一瞬、消えた。

さらに、さかのぼるなら2週前のダンロップフェニックスだ。最終ホールのボギーで、市原の大逆転をみすみす許した場面。
18番で逃した3メートルのパーパット。
1打差の初V逸を、どこで見ていたのか青木の観察眼には畏れ入る。
「青木さんにはそれらすべてを指摘され、“みくむはスライスラインが苦手だろう?”と。まさにドンぴしゃでした」。
今季、大事な局面で、逃したパットは確かにスライスラインばかりだった。
「セカンドで、絶対にフックラインにつけておきたいと思ってしまうくらいに苦手で。でも、さっき青木さんにこうしたほうがいいと、スライスラインの打ち方を教わって。めちゃくちゃいいヒントを頂いた。今すぐにでも試したいくらいです」。
ハレの席でびしっと決めたスーツ姿で堀川は、授かったばかりの金言にウズウズしていた。

今季、13人の初V者が出た中にはやはり、青木からアドバイスを受けて、すぐに結果を出した秋吉や、出水田がいる。堀川は、最後の最後にもまたその流れには乗り損ねたが、いつまでも落ち込むことなく「練習してまた来年、頑張ればいいこと」。

先週の最終日にも、どんな局面でもキャディの清水さんとニコニコと、笑顔でプレーする姿がファンの間で感動を呼んだ。
「僕の中では無理したり、取り繕ったりではないんです。キャディさんとの会話を楽しんだりする中で、勝手に笑顔が出る。勝てなかったのは悔しいですけど、負けてつらいっていうのもなかった。4日間、その位置でやれたことのほうが嬉しかった」と堀川は、先週の最終日も勝負そのものを楽しんでいた。

高校時代に通ったゴルフスクールではスコアをつけないでラウンドすることが多かったという。
「技術より、まず楽しく回ることを重視していた教室だったんです」。
スコア至上の指導が少なくない中、まずはその子の長所を伸ばし、ゴルフの面白さを学ぶ方針が、堀川の明るい性格に拍車をかけた。
「ゴルフは息の長いスポーツですが、ストレスに感じたりつらい、しんどいでは続かないと思うので」。
ゴルフそのものを楽しむ姿勢は、ジュニア時代に培われたという。

先週の最終ホールも全身で、悔しさを表現しながら堀川はやっぱり大きな口で笑っていた。
「プロである以上、勝ちにこだわる姿勢はもちろんですが、僕を応援してくれる人たちはみな1回の優勝よりも、優勝争いをたくさんして2位が10回あるような選手になって欲しいと言ってくれる。目標は、最後勝つかどうかというパットを毎試合で打てるような選手。最後、入るか入らないかは運なので。負けたことを引きずりたくはない」。

優勝した小平は早々に中退したから部活動ではかぶっていないが、日大の2つ先輩だ。
「堀川の初優勝を、つぶしに行った」と、V会見でも容赦なく言ったがそれにも納得だ。
「僕も最後まであきらめる気持ちはなかったですけど小平先輩のほうが少し、気持ちが上だったということ。ショット力とか、レベルはまだまだ先輩が、格段に上。先輩みたいに最後、あの難しいホールで勝ちきる力を目標に、僕もまたオフに力をつけて、来年の開幕を良い状態で迎えられたら」。
そして今季、賞金王に輝いた今平とは、幼なじみの同級生である。
「周吾にも追いつきたい」。
平成生まれのキラキラネームには「未来の夢をかなえるように」との願いがこめられている。
来季も笑顔で夢の実現を、目指していく。

関連記事