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HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2018
3日目は中止。お楽しみのジュニアラウンドレッスン会も・・・
そのかわりにプロがトークショーを開いて子どもたちと触れあうことになった。
クラブハウスのレストランを会場に、参加14人のジュニアたちの前に立った4人は間違いなく精鋭たちだが、トークショーの開始時間は、まさに本戦の競技が中断する直前。
たとえこの大雨でも本来ならば、選手たちはいままさにコースに散らばっているはず。
「でもいま、ここにいるということは・・・・・・」。
「何言ってんですか?!」。
司会者の冒頭に、気色ばんだのは沖縄が誇る賞金王のホストプロ。
優作を筆頭に、その兄・聖志と香妻陣一朗、そして選手会長の石川遼も顔を揃えた超・豪華版。
今回は予選落ちこそしてしまったが、いずれも百戦錬磨の武者揃いである。
トークの議題は、まさに「こんな雨の日のプレーで気をつけること」や「風対策」「スタート前のルーティン」などなど。
「・・・雨の日は、ゴルフしない!」とは、もちろん聖志お兄ちゃんのいつものジョークでプロは、天候によって皮の手袋と全天候タイプを使い分けたり、いろんな工夫を凝らしていることも分かった。
石川は、雨の日のトラウマを告白。
「僕は小学生のころ、握力がなかったので。滑ってクラブがOBのほうに飛んでいったことも」とは、いま思い出しても震えあがる恐怖体験。
お待ちかねの質問タイムで、シード復活に苦しむ聖志は、まさかのプロからジュニアに質問?!
「パットの時、後ろから見たときと、実際に立ったときのラインがずれて見えるときがある。そういうときはみんな、どっちを優先する?」とは、ずっと、疑問に思ってきたことだそうだ。
シード選手が集う、このどさくさに紛れて解決しちゃおうとお兄ちゃんが投じた議題は、ジュニアたちのつぶらな目からもウロコ。
次第に白熱してきた座談会が、もっとも熱を帯びたのはメンタルトレーニングについて話が始まったときだった。
妹の藍さんが、現役時代に取り組んでいた「54ビジョン」なる世界的にも著名な“メントレ”は、次兄の優作も共に取り組んだこともある。
あの藍さんでさえ、ラウンド中のマインドコントロールには苦労していたそうだ。
そこで、コーチから提案された改善法のひとつが「左のポケットにティを10本入れて、ラウンドしながら自分がネガティブなことを言ったときに、ティを1本ずつ右に移す。ラウンド後に、右にティが何個残ったか」。
ゴルフは自分との戦い。そんなとき、つい浮かぶマイナス思考を打ち消すのは、口で言うほど容易ではない。
「僕なら、ティ10個じゃ足りない」と、悲鳴をあげたのは石川。
世界的な藍さんの活躍の裏に、そんな見えざる努力があったのだと、これまた目からウロコは、参加プロたちもまた同じだった。
トークショーの最後には、それぞれプロのそれぞれのジュニア時代の父親との関係性も絡めて、付き添いの親御さんたちも大いに参考にしたい貴重なアドバイスも飛び出し、濃密な時はあっという間に過ぎた。
地元小学生から高校生まで14人が集まったこの日のトークショーには実際に、プロに混じって予選ラウンドを戦った地元沖縄・宮古島市立宮古総合実業高3年の多良間伸平(たらましんぺい)さんも参加。
昨年の今大会に続いて、自身2度目のツアーも、ラウンド中にまさかプロにこの日のような話は聞けず、「非常に貴重な機会。メンタルの話など、とても勉強になりました」と、4人の金言に聞き入った。
残念ながら、今回は4人のプロと同様に(!!)自身初の決勝ラウンドには進めず「本当に厳しい世界。その中で、毎週、体のケアをしながら上位に入る凄さ。尊敬します」と4選手に改めて羨望のまなざしを向けた多良間さん。
未来のスター候補は来年の大学進学を控えて、その先に見据えるプロの世界を垣間見ていた。