Tournament article

ISPSハンダマッチプレー選手権(1回戦・2回戦) 2018

負けたら許さない?! 新人・阿久津未来也の挑戦

大先輩宮本(右)との初戦突破。GO!阿久津
あこがれの人を初戦で下した。阿久津未来也あくつみきやと読む。まだ無名の新人だ。

今大会は、5月の日本プロのたった1試合で出場にこぎつけた。6位賞金の400万円を駆使して「ISPSハンダマッチプレーランキング」を一気に上昇させると、総勢104人で作る巨大やぐらに潜り込んだ。

迎えた初戦。1回戦で当たった宮本勝昌は、強豪・日大の大先輩だった。
「胸を借りてぶつかろうと思ってプレーしました」。
4番で、ピンまで145ヤードのバンカーショットが「思った以上に寄った」と、9番アイアンで、70センチにつけるバーディ奪取が、この日の流れを呼び込んだ。

「全体的にショットが安定していた」と、その後も再三のバーディチャンスで、先輩をゆさぶり続けた。

小学時代に観戦したトーナメントで、初めて宮本を見た時からその笑顔に魅せられてきた。
栃木県の作新学院高校2年時にツアー初出場したフジサンケイクラシックでベストアマに輝いた時も、日大3年時に日本学生を制して報告に行った際にも、いつもニコニコと対応してくれた宮本。
「本当にかっこよくて。あんな選手になりたい」。

目指すべき相手から、勝利をもぎとったこの日は記念の日。
宮本のギブアップを誘って勝負を決したドーミーホールの16番でも「今日は良いゴルフをしていたね」と、握手を求めてきた先輩は、相変わらず爽やかだった。
「明日、負けたら承知しないよ」と励まされて、背筋が伸びた。

昨季のファイナルQTは、予選落ちをしてツアーメンバー資格を逸しているから、これから秋に向かって出場優先順位の組み替えを行う「リランキング」は、対象外となる。
それだけに初戦さえ突破すれば、誰にも賞金が配布されるこの一大マッチレースは、阿久津にとっては特に、安穏と負けてられない戦いだ。
「この大会でシードを目指すとまではいかないまでも、マッチプレーは目の前の相手を倒していけばいいだけ。僕ら若手にもチャンスがある。ひとつでも上に行けるように頑張りたい」。
大先輩からもぎとったチャンスを無駄にはしない。

関連記事