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ISPSハンダマッチプレー選手権(3回戦〜決勝) 2018
5位タイ決定戦は、熾烈なシード権争い
互いに絶好調とはいえない状態に、「裕太のミスもあったり、ボギーで分けたり」と、振り返るのは正岡。
相手のミスを待つ様相に「その分、パーをキープする。マッチプレーの基本ですね」と、我慢比べでじわじわと差をつけた。分ければ勝ちの16番で「もういちど、しっかりと紐を締めた。終わるまで、気を抜かずに」。3&2で木下を下した。
無事、5位タイ賞金を積み上げて、これで獲得賞金は約1400万円。
「ツアーで900万円というと、単独3位くらい。駆ける気持ちは強かった」。
賞金シードも視野に、木下から150万円差をまんまと勝ち取りこれで2つ下の後輩にも、また叱られないで済む。
「最低でも5位になっとかないと。勇太に“何やってんだよ”と」。これで秋以降の戦いにも弾みがつく。
そして、負けた木下。
「自爆です」。水曜日の3回戦から体力と、精神力を問われる3連戦。
「疲れが出ていた。フラフラして、体力不足を痛感した」。
上がってすぐに今後、日々5キロのランニングを自分に課すと決めた。
日大以来となる、マッチプレー競技の戦法にも、見直しが必要とわかった。
「マッチプレーはバーディをガンガン獲ったほうが有利と思っていたが、それは違うと」。
ミスをせず、パーを拾い続けるしぶといゴルフ。
「そのほうが、相手は嫌がるんだ、と。それで先手が取れれば気持ちに余裕が出来て、むしろバーディが来たりする」。
この日、正岡との5位タイ決定戦ではそれが出来ずに焦りばかりが先走った。
「今日は自分にがっかりです」。
たとえ7位タイでも木下もまた、これで初シードにむけて大きく躍進。しかし「今日の終わり方は、楽しくない。このままで、帰りたくない」と駄々をこねるように言った。
7月の1,2回戦は「2回勝てば、上出来と思っていた」。しかし、勝ち進むに連れて欲が出てくるから不思議だ。
「勝ってみるともう1回、もう1回」と、勝つ喜びも加速していく。またその反動も、大きくなることを高いやぐらの上で、身をもって知った。
「どんな相手にも、負けると悔しい。モヤモヤします。すっきり帰りたかったな・・・」とこの日の敗戦は、前日の池田との“ユータ対決”にも増して、尾を引きそうだ。
そんな悔しさは、次の目標へぶつけるのが正解だ。
「“JT”を狙いたい」。
後半戦で、狙うは今季ツアーの最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の出場権。
「ツアーで勝つには、まだまだ全部足りないけど、賞金ランクで30位くらいに入れれば」。
巨大なやぐらに飛び込むことで、32歳に新たな野望が生まれた。