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中日クラウンズ 2019
昭和の男が令和で頑張る
昭和47年生まれのベテランだから、は通用しない。
むしろ経験が邪魔をする
難攻不落と言われるゆえんである。
この日3日目は大混戦のV争いに、強風の難条件も加わり心底、若さを羨んだ。
「ジュンゴンはすごいいいプレーするし、アトムもアイアンがキレキレだし、うらやましい限り」。
同組の黄重坤(ハンジュンゴン)や、重永亜斗夢(しげながあとむ)を横目に46歳も踏ん張った。
「ショットの手ごたえはない。ラフに行きだしたらどうやって、グリーンに乗せるか。どっからのほうが寄るか」。
そんなショットの不安要素を、使い始めたばかりのパターで補う。
左腕にシャフトを沿わせた「アームグリップ風」に構える39インチの中尺パターを日に日に手になじませて、13番では5メートルのパーパットをしのぎ、2打目を木に当てた14番では、次の3打目が入りかけ。
薄氷のパーセーブに「この2ホールがデカかった」と、立て続けのピンチ回避も、次の15番ではついに3パットのボギーを打って、普段笑顔に隠したマイナス思考が顔を出す。
「あと3ホールもあるし、難しいホールだし…」。
こぼれたプロの弱音を、歴10年余のハウスキャディさんがすかさずすくい取る。
「まだまだこれからよ!」と、遠竹則子さん。
「非常に明るい性格に助けられた」と、感謝した。
16番でさっそくとり返すと、18番の3メートルのバーディ締め。
「ピンチをしのいで、しのいで最後にご褒美が来た!」。
遠竹さんと足並み合わせて首位に1打差と迫って最終日を迎える。
17年にツアー通算11勝を挙げた「ダンロップ・スリクソン福島オープン」での出場権はまだ1年残るが昨年は、ランク74位で賞金ランクによるシード権の確保には失敗。
復活に賭けるこのオフの心の支えは、やっぱり長年ともに研鑽を積んできた″チーム″の面々だった。
今年、50歳のシニア入りを迎える″兄弟子″の藤田寛之。
「練習量が減るどころか逆にトレーニングも増えてるぐらいのボリューム。自分が遅れるわけにはいかない」。
まして還暦の″師匠″は「人工股関節が入っているとは思えないくらいに球数打ってる」。
昨8月に、股関節にチタンを埋め込む手術を受けていながら今週、実に7年ぶりにレギュラーツアーで予選通過を果たした芹澤信雄。
「こっちが心配するくらい。自分がデビューした20数年前と、変わらず練習をされるので。自然と自分も練習ができている」。
さっそく新時代最初のV争いにこぎつけ「昭和の男が令和に頑張る。その流れには、乗っかりたい」。
お祝いムードに乗じて、復活のV12といきたい。