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HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2019
家族ワンチーム! ノリノリ、ノリスが連覇にタックル
「昨日、大声で応援したせいでこんなになっちゃった」とショーン・ノリスはかすれ声で笑った。
前日2日の土曜日は、南アが対イギリス戦。母国が歴史的な勝利を飾ったラグビーワールド杯は、家族も日本に駆け付け、たまたま兵庫・三宮(さんのみや)の宿内にあったスポーツバーで観戦。
「他のお客さんたちが、”あの人たちは、完全に南アの応援団なんだろう”と、分かるくらいにみな大絶叫しましたよ」。
自身もラグビー少年だったノリスには、自国の歴史的な背景も感動に拍車をかけた。
「ただ優勝しただけでない。素晴らしかったのは、人種を超えてワンチームで戦えたこと。国にとっても大変な意味のあること。勇気をもらった」。
母国の快挙に連戦の疲れも吹き飛んだ。
翌最終日は裏街道のインコースから出て、ボギーなしの6アンダーをマーク。
弟のカイルさんをキャディに従え、最終ホールの9番に登場したノリスを、ベビーカーを引いた家族が出迎えた。
妻のキャンディスさんと、1歳の誕生日を迎えたばかりの長男ジェイデン君。そして、そのかたわらにはお母さんのジョーンさんの姿も。
家族の前で、トレードマークの長尺パターを器用に操りきわどいパーパットをしのいだノリス。
母親のジョーンさんが、「グッドプレー、今日はグッドプレーよ!」。胸の前で小さな両こぶしを作ってつぶやいた。
病床に倒れた父を思い、Vシーンでノリスが涙をこぼしたのが昨年、ツアー通算3勝目を飾った今週の「平和・PGMチャンピオンシップ」だった。
そして、今年10月には通算4勝目の「トップ杯東海クラシック」で、亡き父のために号泣。
パトリックさんを76歳で失い、ちょうど3カ月目の優勝だった。
「そうね…、私たち家族は今年、とても寂しい思いをしたわ。でも夫は長いこと病気だったから…」と、母親のジョーンさん。
ジョーンさんらはこのまま、次週の「三井住友VISA太平洋マスターズ(11月14日〜17日、静岡県・太平洋クラブ御殿場コース)」までのロングステイ。
深い悲しみも、家族ワンチームで乗り越えつつある。
2週前には、日本初開催の米ツアーにも出場。「ZOZOチャンピオンシップ」では、ノリスも世界トップとしのぎを削り、刺激を受けた。
「ちょうどゴルフも自分が思うような形になってきたところ。その中で、自分も世界でやっていけるのではないかという自信を持つことができた。次は大好きなコースだし、勝てない理由は見当たらない。今年もチャンスがあると思う」。
連覇をかけてノリノリ、ノリスがノリノリで、沖縄にノリ込む。