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ZOZO CHAMPIONSHIP 2019
第2ラウンドは、コースVS豪雨との戦い「無事にスタートにこぎつけられてよかった」
前日25日の記録的な豪雨被害がもっともひどかった10番では、きゅうきょフェアウェイ上にティを仮設。140ヤードと国内男子史上もっとも短いパー4に設定して行われた。
それでも、3日目以降の開催さえ危ぶまれた状況から、奇跡の実施にこぎつけた。その陰に、ゴルフ場運営のプロ集団の力があった。
夜を徹して行われた復旧作業は、第1組がハーフターンを迎える正午前にぎりぎり完了。揃って18番グリーンに”帰還”したコース管理のみなさんを、PGAツアーのスタッフが拍手と労いで出迎えた。
「サンキュー…サンキュー!」と声をかけられ、ペコリと頭を下げた習志野カントリークラブのみなさん。疲労の中に、一様に安堵と達成感が漂っていた。
グリーンキーパーの鴻巣泰之(こうのすやすゆき)さんが、総勢115人のスタッフを招集したのは26日、深夜の3時半。
鴻巣さんを含めて”先発隊”の数名は、すでに2時から歩いて真夜中のコースを巡回し、被害状況を把握してあった。
水流で崩れたバンカーなど、修復必要な箇所を鴻巣さんが全体ミーティングで通達し、それぞれコースに散ったのが早朝4時。作業が終了したのが午前11時半。
復旧には丸半日かかった。
ここ習志野はゴルフ場運営のプロ集団、アコーディア・ゴルフが母体。組織力を結集させて、「なんとか、雨が降る前の状況までほとんど戻せた。間に合って本当に良かった」と、鴻巣さんは胸をなでおろす。
もっとも被害がひどかったのは10番。想定以上の雨量であふれた左の貯水池から、一気に水が流れ込んでファウェイが冠水。水量は右サイドのバンカーまで及び、前日午後にはほぼ水没した。
排水溝から排出されるしくみにはなっているが、それを待つだけでは間に合わない。上からポンプで掻き出す作業は明け方まで続いた。140ヤードという短いパー4への設定は余儀なくされたが、被害の大きさを思えば最小限の犠牲だったといっていい。
先の2度にわたる台風被害から、復旧したばかり。昨年末から世界最高峰のPGAツアーと折衝を重ね、時には無謀とも言いたくなるような要求にも、コース一丸で応えてきた。
やっと開催にこぎつけたのに、よりによって開幕直後に迎えた大雨被害の試練だった。
「今日だけでなく明日の開催も、当初はもうダメかと思いました。気が気じゃなかった」と今回、PGAツアーとの折衝窓口をつとめた東関東エリアのコース管理責任者、瀧口悟エリアコースマネージャー。
「本当は、今日も大勢のお客さまに世界最高峰のプレーを見ていただきたかったが…、無事にスタートが切れただけでもよかった。PGAツアーもよくやった、と言ってくれた。僕らの大変さもわかってありがとう、と言ってくれた。それが嬉しいです」。
徹夜の作業を終えて、ひとまず肩の荷を下ろした瀧口さんたちの隣で観客のいない、静かな第2ラウンドが粛々と行われていた。