連続賞金王の20ー21もあと1日
いよいよ5日、20ー21新王者が誕生する。
一昨年まで2年続けて守られた王冠が、次に渡る。
18ー19年の賞金王も、今年最後の1日に臨む。
今平周吾の3年連続3度目の偉業が消えたのは、先週。
最終日最終組で迎えた「カシオワールドオープン」は、2打差の2位タイ。
同級生の堀川未来夢に優勝を譲った瞬間、可能性を失った。
「目標にしていましたので。それはやっぱり悔しかったですよ」と、静かに微笑んだ。
今季は、今年9月のフジサンケイクラシックで通算5勝目を飾ったが、2試合後の「パナソニックオープン」で、2019年の「東建ホームメイトカップ」から続けていた連続予選通過記録が、41試合でストップ。
「今年はショットに苦しんだ年」と本人もいうように、2年前に2年間続けたあの驚異的な安定感は確かになかった。
新王者への王冠譲渡が決定した。
2年前の重圧とは無縁で迎えた今季のシーズン最終戦に、2年前の自分を重ねて、「なつかしさはありますよね。当時の心境だったり、ああ…こんな感じだったな、というのは思い出します」。
今季の賞金レースは、賞金1位のチャン・キムを軸に2位の木下、3位の金谷、4位の星野、5位の稲森まで可能性を残している。
「でも、僕の時は2年ともノリス選手だけだったので。僕は1人だけを見ていればよかったですけど、今年は5人もいて、誰が来るかわからない。意識する人が多くて大変そう」と、いつもと違うピリッとした空気を、今平も隣に感じている。
頂上を目指すもの、また、実際に頂上に立ったものにしかわからない孤独とプレッシャー。
それを2度も続けて乗り越え、王座に就いた。
連続賞金王は、ジャンボ尾崎と青木功、中嶋常幸、片山晋呉に次ぐ史上5人目の快挙だったが、2年前の今頃と、今週の今平のたたずまいを比べてみても特段、違いはなく見える。
「いえいえ…。僕も少しはピリピリしていましたよ」とニッコリしたが、「少しは」の注釈付きがいかにも強心臓らしい。
今週の張りつめた空気の中で、身長165センチの”小さなヒーロー”が2年続けて成し遂げた、2年前の偉業が改めて際立つ。
2年前に恒例の賞金ボードを掲げた思い出の舞台で、今年は初日の9位タイから2日目に急降下。
通算2オーバーの26位タイと苦戦が続いている。
「3日間、よいゴルフができていない。最後、いいゴルフをして終わりたいですね」。
2年連続王者が、今年は静かに最後の1日を迎えようとしている。