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長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ 2021
「帰らないの一択」ホームシックのストレンジが1差の2位に
切実な思いは、プレーで晴らす。
豪州のベテラン、スコット・ストレンジが風の強い午後からのプレーで、「66」を出した。
「最初は多少、迷いながらのプレーでしたが、だんだん風も穏やかになってきましたし、最終的には良い1日になった」。
20ー21年のロングシーズンは、今年5月の「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品」からようやく再合流ができたが、ビザの取得や書類の作成など苦労の連続だった。
「来るまでが本当に大変だった」と、嘆息する。
「でも、やっとここまでこぎつけたのはいいけど、今度は家に帰れない。…帰れないんですよ」と、どこにぶつけるともなく訴えた。
「国に戻っても隔離、また来ても隔離では…。帰らないという一択しかない」と、先週まで1カ月半のオフも当然、帰国を見送った。
4月17日の来日から、ずっと家族に会えていない。
「もちろんスカイプや、インターネットで話はできる。でも、実際に顔を見るのとではやっぱり違いますよね?」。
ホームシックのストレンジ。
寂しがる44歳の隣で、家族同然に接してくれる「ボス」がいる。
今週キャディのイヤンさんは、ここから車で1時間ほどという北海道ニセコで「ニセコワオ」というリゾート会社を運営する社長さん。
ゴルフコンペで知り合ってから、10年来の付き合いと言い「この夏休みも彼の会社で練習やトレーニングなど、本当に家で過ごすみたいに有意義に過ごさせてもらいました」と、感謝。
「先週から2人で千歳に移ってきたけれど、彼の言うとおりにしていれば間違いない。コースでも、彼の言いなりですよ」と、全幅の信頼を置く。
お返しは、やっぱりイヤンさんの地元で捧げる日本ツアー初Vしかない!?
「ワオ」と、まんざらでもない顔で「僕はボスの言いなりなので。優勝は、ボス次第かな?」と、ニヤリ。
日本語も堪能なイヤン社長は「ソウデキルト、イイケドネ〜」と、隣で苦笑していた。