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日本プロゴルフ選手権大会 2021
間違えられてもめげません。こちらは裕太! 木下が初日午前の暫定首位
悲願のツアー1勝は、4年前の「マイナビABCチャンピオンシップ」だ。
でも、その後パタリと勢いを失い、2020年のフジサンケイクラシックの12位タイが最高。
「もう少し上に行くために、もう少し飛距離が必要」。
パワーで補えない分を道具と打ち方に求めて迷走した。
「クラブのメーカーを、試合ごとに変えて」。
「持ち球のフェードボールは風に負けたら飛距離が落ちる。風のゴルフがすごい苦手で。去年、一昨年と、ドローボールを打とうとしてた」。
無いものねだりでスランプに。
今季は、20ー21年のロングシーズンでも、もたついたらあっという間に終わりは来る。
今年は、ついに複数年シードの最終年に。
「シードがなくなるので。思い切ってやれるかな」と、瀬戸際を察して原点回帰。
ドライバーを以前のものに戻した。
アイアンセットの浮気もやめて、先週の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」からヨネックスで定着。
「スイングも、5対5の割合で打っていた時には身体が痛くなっていたけどもう、無茶には攻めない。今はドロー2:8フェードに戻したら良くなってきた」。
先週の2日目から見え始めた兆しが今週、確信になってきた。
この日は、前半の12番で3メートルのパーセーブを残したピンチをしのぐと、上昇の契機をつかんだ。
15番から4メートル、5メートルを沈めて連続バーディを奪うと、折り返しの1番では1.5メートル。
さらに4番からは3連続バーディも記録して戻った。
「今日はほとんどフェアウェイもキープして、安定してできた。アイアンが全部絡んでくれて、チャンスのパットもほとんど入れた。ちょっと出来すぎ。今日は100点。自信も出てきた」。
雨中でボギーなしの「65」に、初日からさっそく合格点が出た。
前日、某先輩プロと話していたら、まったく話がかみ合わない。
「プロアマで、お客さんの○○さんと回ったでしょ?と聞かれて…。30秒くらい考えて。僕のことじゃなかった」。
木下は木下でも、それは稜介(りょうすけ)。
いま、破竹の29歳。
今週は、6月第1週の初Vから再びこの日本タイトル戦で、前人未踏の3連勝がかかるほう。
同性の後輩プロには「最近、よく間違われる」。
5月最後の「ミズノオープン」で、偶然同じになった。
「一緒に回ることはめったになくて。低いドローボールでコントロールをして、凄い上手いな〜と思って見てたら次の週に優勝して。ちょっと意識する部分はあります」。
あやかりたい。
稜介のほうの木下が、今大会の開幕前に「このコースはフェード向き」と話していたそうだ。「それは…、ありますね。今週は、凄く打ちやすい」と、コースとの相性を再認した裕太。
「悪いときは必ず来る。その時に、いかに耐えるか。それができたらまたチャンスは来る」。
稜介は初優勝まで8年かけたが、裕太の木下は、11年かかった。
我慢は慣れている。