今年も国内開幕に合わせて「東建ホームメイトカップ」の会場から本格稼働を始める。
一見、変哲もないトレーラーがいつもの場所に到着すると、荷台の左右がパカっと拡張。あっという間に立派なトレーニングルームに早変わりする。
車内のちょうど右半分にはバイクやパワーラック、ウエイトなど鍛錬器具が所狭しと並ぶ。
壁にはめ込まれた大画面テレビとジャンル別に揃えたDVDは、トレーニング中の選手たちを飽きさせないための心配りだ。
そして、左半分には施術用のベッドを中心に、低周波や超音波などの各種治療器が備わる。
トップアスリートにケガはつきものだが、選手たちの多用なニーズに合わせて完全装備。ここに駆け込めば、ほとんどが解決できる。
特に、昨年から導入された「コスモヘルス株式会社」の医療器は、電位治療と超短波治療が可能。
選手なら誰でも、最先端の施術が受けられるが、目に見えた効果に自宅でも愛用したいと、高価な治療器を、1人で複数台購入した選手もいるほどだ。
そして、どんな高度な治療器具にもまして頼りになるのが常駐する経験豊かなアスレチックトレーナーの存在である。
JGTOオフィシャルトレーナーの成瀬克弘(なるせ・かつひろ)さんは、フィットネスカーの稼働元年からこの道一筋。
毎週火曜の午後から会場入りし、本戦が始まると早朝からオープン。
午前組のスタートを送り出す間もなく、午後組の選手たちがやってくる。
午後組がコースに出て行ったと思ったら、今度は午前組の選手たちがプレーを終えて、駆け込んでくる。
施術は毎夜、遅くまで続く。
日曜日に最終組のスタートを見送るまでほぼ休みなし。献身ケアにつとめる。
「ケガしないために一番重要なのは、力みの無い効率的な身体の使い方です」と、成瀬さん。
「力んだ状態でプレーを続けると、筋肉は疲労し、スイングバランスに支障をきたします。けがをしないためにクラブヘッドをいかに効率よく走らせるかを考えることも大切です」と、指導法も実にわかりやすい。
昨今は、用具やボール、シューズの進化や改良に選手の身体が追いつかず、知らない間に負担がかかっている場合もあり、「時代の変化にも対応したサポートを常に心がけています」。
成瀬さんはかたときも選手たちへの目配り、心配りをやめない。男子ゴルフにはもはや欠かすことのできないお一人である。