今年89回を迎える「日本プロゴルフ選手権大会」は、日大祭りだ。
主催者によると、同大学ゴルフ部出身の出場選手は総勢144人中、30人以上。
アルバイトで来てくれる現役の学生キャディさんにいたっては、50人は下らない。
必ず日大生に当たる、といった様相である。
コースから車で約20分のところに同大学のゴルフ部・三島寮が完成したのは2007年。
プロ13年目の中西直人(なかにし・なおと)や阿部裕樹(あべ・ひろき)が寮の一期生にあたり、そこからここ、三島に日大王国が築かれることになる。
その流れに沿って言うと、ツアー2勝の堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)や、現在賞金2位につける桂川有人(かつらがわ・ゆうと)がいま一番の出世頭で、岩﨑亜久竜(いわさき・あぐり)や清水大成(しみず・たいせい)らが後を追う構図。
中でも今週、一番燃えているのがプロ7年目の阿久津未来也(あくつ・みきや)だ。
今年の会場となる三島市のグランフィールズカントリークラブは大学時の練習コースであり、キャディのアルバイトにも励むなど、青春の思い出でいっぱい。
「距離はないので、バーディはいっぱい出ると思いますが、グリーンの傾斜が難しい。ラインの読みも、思ったより3倍は見てくださいとお客さんにもアドバイスをしていた」と回顧し、「4年時には男子生徒の中で、一番キャディに来ていたのが僕です」と、断言。
「コースも、僕が一番知っています」と、自負する。
プロ日本一を決める本大会への思い入れも強い。
大学4年時の2016年に、主催の公益社団法人日本プロゴルフ協会(PGA)が実施するプロテストに合格すると、翌年の「日本プロゴルフ新人選手権」で優勝。
その資格で初出場を果たした2018年の本大会最終日には、一時首位に並ぶ活躍で6位に入り、初シード選手として出場する今年はまさに「庭」での開催。
「PGAさんには何かとご縁を感じていて、頑張りたい思いが強い」と、意気込む。
公式戦でのツアー初Vを請け負ってくれそうな、心強い援軍もいてくれる。
バッグを担いでくれる星川ひなのさんは5つ後輩で、在学時には日本女子学生を2度制覇
今年は2度目の女子プロテスト挑戦を控える大学期待の一人だ。
「後輩ですけど、大船に乗ったつもりで挑みたいと思います」と、阿久津が全幅の信頼を寄せれば、星川さんも「先輩には優勝してもらいます」と、頼もしい。