最後18番で、やっと「良いティショットとセカンドショットが打てました」。3メートルのチャンスを逃したのは悔しかったが「気持ちをこめて。明日につながるように」と、いつものシュッとした笑顔が戻った。
3アンダー、19位タイでのプロ初日に、スタート時の硬い表情もちょっぴり解けた。
昨年覇者として迎えるプロデビュー戦。
前夜10時に就寝したが、夜中2時に目が覚めるとそこから起床予定の6時半まで「寝たり起きたり。寝付けなかった」と苦笑する。
「世界アマやマスターズ、全米オープンや全英オープンも緊張しましたけれど。そのどれとも違う緊張感。スタートでボールが揺れて見えました。それくらい心臓がばくばくしていた」と1番ティで、正午の時報と同時に打ったプロ最初の1打は「ダフりかけた」と、大きく右ラフへ。
不安そうに球の行方を追いながら、使用クラブの4アイアンを思わず噛んだ。
「メモを見ても震えている。ふわふわして、どこに体重が乗っているかもわからない。体が動かず、普段どおりにやるというのが難しかった」と、マネジメントの変更すら余儀なくされて、前半ドライバーで打ったホールは「4番だけ」と、手堅く刻んでいながら「ラフから打つのがかなり多かった」と、最初の9ホールはパーを続けるので精一杯。
「チャンスにつけるというよりも、広いほうへ、広いほうへ、という考え方になってしまった。前半は、特に耐えるゴルフになってしまった」と、反省する。
後半に入り、85ヤードのラフから1.5メートルにつけた11番がプロ最初のバーディになった。
100ヤード前後を、いずれも56度で2~3メートルに乗せた14、15番で連続バーディも来たが、本来のゴルフに戻してこられたのはやっと17番。
ピッチングウェッジを選択した146ヤードのパー3で、「フェアウェイから打ってる感覚でティショットを打てたことで、気持ちを落ち着かせることができた」と、ようやく覚醒すると、続く18番では3Wと悩みながらも、意を決して1Wを選択。
「最後、しっかり振り抜いて終わりたかった」と、プロ最初の呪縛を最終ホールで払拭できた。
極度の緊張感を察してか、1番のティショット後に「やっと乗り越えたね」と、労ってくれた比嘉一貴や、プロ最初の選手コールで、ギャラリーと一緒に手を叩いて祝福してくれた日体大先輩の河本力。
「優しいお2人に恵まれて、楽しく回れたのは本当によかったです」と、同伴の先輩プロ2人にも感謝。
「2つくらいピンチがありましけど、耐えしのぐことができて、後半チャンスをつかむことができたことは良かった」と改めて安堵し、「明日からは、きょうが一番悪い日になるように、徐々にスコアを伸ばしていきたいです」と、上昇を誓った。