4月の「中日クラウンズ」と6月の「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」と早いうちに結果を残すことはできたが、先週は予選落ちを喫すなど、終盤戦はやや消化不良のままシーズン最終戦にやってきた。
「連戦続きで、体がずれてきている」と、6季1位を続けるフェアウェイキープにもやや陰りも出て、「ドローが持ち球なのに、フェーダーみたいな球が出ていてどうにかしたい」と、空いた先週末にクラブいじりに没頭。
「クリークと“3ユー”を組み立て直していきなり実戦投入した。ドライバーもチェンジして今週挑んだら、結構良かったので、それが流れ的にアイアンとかパターに繋がったんじゃないか」。
曲がらないショットが戻ってきた途端にグリーン上にも好影響し、エッジからゼロパットにした5番や、8番では「合わせるのが精一杯」という上から下りフックの6メートルなど、「思いもしないパットが2つも入ってくれた」と、ボギーなしの5バーディ「65」。
そつなくまとめて3人タイの首位発進し「久しぶりにゴルフ熱が入ってきました」と、今年最後に今季3勝目も視野にする。
プロ6年目の2015年に初受賞し、翌2016年には“昭和を代表する曲げない男”井戸木鴻樹(いどき・こうき)が2005年に記録した史上最高の70.32%を71.66%で更新すると、以後はほぼ毎年、自身の記録越えを続けて、今年はすでに現在脅威の78.094%。
井戸木の最多記録に並ぶ7季目のフェアウェイキープ1位も、決まったも同然である。
今年、春先には井戸木本人に会う機会があり、キープ率80%での(無茶な)戴冠指令を受けた。
「レジェンドに言われましたので…」と、達成の最終チャンスとなった今週は「4日間とも100%を獲るくらいじゃないと…。それでも、1か2%上がるかどうか」と、初日から内心、戦々恐々としており、「1個でも外すと0.6%下がる計算。間に合わないかもしれない…」と、シーズン最終戦のプレッシャーも、曲げない男ならではだ。
練習日の練習場では、スタッフ相手に「もし、この先10年連続で獲れたら、フェアウェイキープを“稲森賞”に命名してもらえませんかね」と、冗談を言っていたら、「それいいね、そうしましょうよ!」と、隣で聞いていた堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)のほうがむしろ乗り気に。
それを契機に一気に話題が膨らみ「逆にこの先、もしフェアウェイキープを落とすようなことがあったら、もう引退ね」と、オチがついて大笑いになった。
不動の戴冠も、もう間近。
大会の翌月曜日には、都内で各部門別を表彰する年間アワードも控える。
7季連続のスポットライトに、今季3勝を加えて曲げない男はさらに輝く。