河本力(かわもと・りき)が、初出場を果たした大舞台で激動の1年を仕上げにかかる。
「どんな状況でも1日2アンダーが目標です」と、日々控えめな見積もりは、制御を欠いた凡ミスを防ぐための抑止力だ。
8アイアンで打った2番パー3でピンそば30センチにつけるなど、前半4つのバーディパットは、もっとも長くて7番の4メートル。
精度の高さを披露しながら、8番では巧みな小技のパーセーブで魅せた。
ほぼ戴冠決定の飛距離1位は、2019年に歴代最高を記録したチャン・キムの“315.83ヤード越え”もかかるが、計測ホールの12番では「絶対アイアン。きょうも昨日も18度の2アイアン。明日は風が上げたら3ウッド」。
刻みに徹するため、今週のドライビングディスタンスは15位でも「仕方ない」と、目先のためのリスクは取らずにスコアメイクに徹するなど、豪打以外の繊細さも存分にアピール。
予選カットのない2日目に、首位と3打差の7位で週末に入った。
8月の「Sansan KBCオーガスタ」で初優勝を挙げると、10月の「バンテリン東海クラシック」ですぐ2勝目を飾った。
人も羨むルーキー年のはずが「いい思い出より悪い思い出のほうが全然多い」と、ぜんぜん納得してない。
「直近の悔しい思い」として挙げたのが、先月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で突如として出た「2発のシャンク。一発はOBでした」と、顔を曇らす。
「プロゴルファーって、めったにシャンクなんかしない。防げたミス。腹立った」と、2差5位で石川と星野のプレーオフにも入りそびれた自分を責める。
大会2日目の朝は、サッカー日本代表がスペインを撃破して、16強に進出した日。
でも「見てないです」とグっと横目に当日の早朝に向かったのは“24時間フィットネス”。「ウェイトを担いでからコースに来た」と、年の最後の勝利に賭けている。
ルーキー年の今季3勝なら、同じ愛媛の松山英樹の2013年以来(松山は全4勝)。
「ここで勝てたらいいシーズンだったと言える」と、リキ説。
日体大のアマ時代にツアー1勝の姉・結さんと観戦に来て、プロへの思いを強くした。
憧れの大舞台で最強プロの称号を獲りに行く。